スミミザクラ

スミミザクラ（酸実実桜、学名: Prunus cerasus）は、ヨーロッパから南西アジアにかけて自生するバラ科サクラ属の植物です。セイヨウミザクラ（甘果桜桃）と近縁ですが、果実の酸味が非常に強いことが特徴で、生食にはあまり向きません。しかし、その酸味こそがスミミザクラの魅力であり、様々な料理やお菓子、保存食に利用されています。

特徴

樹高: 一般的に4〜10m程度で、セイヨウミザクラよりも小柄です。枝が多く生え、こんもりとした樹形になります。
果実: 黒っぽい色をしており、茎が短いのが特徴です。酸味が強く、生食には不向きですが、加熱したり砂糖を加えたりすることで、風味豊かな味わいを楽しむことができます。

種類

スミミザクラには、大きく分けて以下の2つの種類があります。

レッドモレロ種 (red morello): 赤黒い果実を実らせます。
アマレル種 (amarelle): 明るい赤色の果実を実らせます。

利用法

スミミザクラの果実は、その強い酸味から生食には不向きですが、様々な調理法で美味しく食べることができます。

料理: スープや豚肉料理などのアクセントとして利用されます。特に、イラン料理では、ポロウ（ピラフ）やホレシュト（煮込み料理）に使われるなど、重要な食材の一つです。サワーチェリースープに使われるチェリーも、通常のスミミザクラの実を指します。
お菓子: 砂糖と一緒に煮詰めることで酸味が和らぎ、香りや風味が引き立ちます。ジャムやコンポート、タルトなどの材料として最適です。
飲み物: 果実をシロップにしたり、ジュースやリキュールに加工したりすることで、独特の風味を楽しむことができます。
保存食: 乾燥させたり、砂糖漬けにしたりすることで、長期保存が可能になります。

調理用としては、甘味の強いセイヨウミザクラよりも、酸味の強いスミミザクラが好まれる場合もあります。スミミザクラの酸味は、料理やお菓子に深みと奥行きを与え、独特の風味を生み出すからです。

スミミザクラは、その酸味と多様な用途で、世界中の食文化に貢献している魅力的な果実です。

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