スメルシ

スメルシ：スターリン直属の防諜部隊

スメルシ（ロシア語: СМЕРШ、英語で「Death to spies」を意味する）は、1943年4月19日に第二次世界大戦の独ソ戦の最中に設立された、ソビエト連邦の防諜部隊の一つである。この部隊は、当時の国家機関である内務人民委員部（NKVD）から独立し、国家保安人民委員部（NKGB）の元で活動した。創設者であり、指揮官を務めたのはヴィクトル・アバクーモフで、彼は副国防人民委員を兼ねており、スターリンに直接報告できる権限を持っていた。

任務と活動

スメルシの主な任務は、脱走兵やドイツ側に寝返った赤軍兵士、さらには前線における敗北主義者を摘発するものであった。スメルシは実質的にはソ連の督戦隊として機能し、各方面軍に配置され、その活動域は広範囲にわたった。

また、彼らは軍内のみならず、ソ連の占領地域においても不穏な行動を行う者を摘発することに注力していた。特に著名なのは、ブダペストにおいてスウェーデンの外交官ラウル・ワレンバーグを逮捕した件であり、この事件は国際的な関心を集めた。

戦後の変遷

1945年8月、ソ連軍は対日戦争に参戦した際、スメルシは先陣を切って満州に侵攻した。この時期、彼らは大きな役割を果たしたことが記録されている。1946年5月には、NKGBがソ連国家保安省（MGB）に昇格し、スメルシもこれに編入される形で存在を続けた。この際、内務人民委員部も内務省（MVD）に改名された。

フィクションにおけるスメルシ

スメルシは、フィクションの世界でも影響を与えている。特に007シリーズの小説版では、戦後も存続し西側諸国や007に対して数々の謀略を展開するが、映画版ではこの役割が国際犯罪組織の「スペクター」に置き換えられている。007シリーズにおいてKGBの名称が登場するのは、1977年の映画『007 私を愛したスパイ』からであり、また1967年の『007 カジノロワイヤル』では、同名の組織が登場するが、こちらはソ連とは全く関係のない架空の組織である。

さらに、著名な小説「ジョーカー・ゲームシリーズ」にもスメルシの名前が登場するが、その表記は「スメルシュ」となっている。これらのフィクションにおける描写は、実際の歴史的事実とは異なることに注意が必要である。

まとめ

スメルシは、第二次世界大戦中の重要な防諜部隊であり、その活動は戦争の行く先を大きく左右した。戦後、彼らの存在はフィクションに影響を及ぼし、多くの作品に取り上げられている。スメルシが果たした役割は、歴史における重要な一幕として、今なお語り継がれている。

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