スモーキー・ジョー・ウィリアムズ

スモーキー・ジョー・ウィリアムズ：ニグロリーグが生んだ伝説の剛腕投手

スモーキー・ジョー・ウィリアムズ（Joseph "Smokey Joe" Williams, 1886年4月6日 - 1951年2月25日）は、ニグロリーグにおいて、サチェル・ペイジ以前の時代で最も偉大な投手の一人として知られています。1911年から1934年まで、その卓越した投球で多くのファンを魅了しました。"サイクロン・ジョー"とも呼ばれた彼の生涯と業績を振り返ります。

生い立ちと初期のキャリア

ウィリアムズは、アフリカ系アメリカ人とネイティブアメリカン（コマンチ族）の血を引く両親のもと、テキサス州で生まれました。1905年、サンアントニオのブラック・ブロンコスでプロ野球選手としてのキャリアをスタートさせます。恵まれた体格（身長6フィート4インチ、体重200ポンド）から繰り出される剛速球は、たちまち相手打者を圧倒し、1年目から28勝を挙げる活躍を見せました。その後も、15勝、20勝、20勝、32勝と、毎年安定して勝ち星を積み重ねていきました。

リンカーン・ジャイアンツでの活躍

1911年、ウィリアムズはニューヨークのリンカーン・ジャイアンツに入団します。1910年代のリンカーン・ジャイアンツの躍進は、彼の存在なしには語れません。記録が不十分な部分もありますが、1914年には41勝3敗という驚異的な成績を収めたと考えられています。同年、メジャーリーグのニューヨーク・ジャイアンツとの交流試合で20奪三振を記録し、その剛速球を見たジャイアンツの選手たちが彼に「スモーキー」というニックネームを付けたと言われています。また、1917年の交流試合では、同じニューヨーク・ジャイアンツを相手に無安打試合を達成しましたが、試合は惜しくも1-0で敗れました。

選手兼任監督、そして晩年

1914年にジョン・ヘンリー・ロイドが監督を退任した後、ウィリアムズは1923年までリンカーン・ジャイアンツの選手兼任監督を務めました。しかし、1923年にチームがイースタン・カラード・リーグで5位と低迷した責任を問われ、チームを放出されます。1924年にはブルックリン、1925年からはホームステッド・グレイズに所属しました。1929年には43歳という年齢ながら、12勝7敗の成績を残し、その健在ぶりを示しました。翌1930年8月7日のカンザスシティ・モナークスとの試合では、延長12回を投げ抜き、27奪三振を記録するという驚異的な記録を打ち立てています。

1932年に現役を引退した後は、ニューヨークでバーテンダーとして働いていたと伝えられています。1951年にニューヨークで亡くなりました。ニグロリーグ以前の投手成績の統計調査が不十分だったこともあり、ウィリアムズがアメリカ野球殿堂入りを果たしたのは、1999年のことでした。

投球スタイルと評価

ウィリアムズの持ち球は、ニッケルカーブ（スライダー）とチェンジアップであったとされています。しかし、何よりも彼の代名詞は、その圧倒的な剛速球でした。サチェル・ペイジをして「私が今まで見た中で最高の投手」と言わしめたほどで、その実力は広く認められていました。

記録と殿堂入り

メジャーリーグとの交流試合成績：通算20勝7敗
1999年：アメリカ野球殿堂入り

スモーキー・ジョー・ウィリアムズは、ニグロリーグの歴史に燦然と輝く、不世出の剛腕投手でした。彼の名は、野球史に永遠に刻まれることでしょう。

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