スラッシュ (アルバム)

スラッシュが2010年に発表した初のソロ・アルバム『スラッシュ』は、彼の音楽キャリアにおける重要なターニングポイントとなりました。このアルバムは、スラッシュ自身が敬愛する数多くのミュージシャンとのコラボレーションによって実現し、彼の幅広い音楽性と多様な才能が結実した作品として高く評価されています。

制作の背景

スラッシュは、長年温めてきたソロ・アルバムの構想を実現するために、2007年から本格的な準備を開始しました。当初のタイトルは『Slash & Friends』という仮題で、様々なアーティストとの共演を前提としたプロジェクトでした。彼は、「バンド活動とは異なる自由な表現を追求したい」という思いから、このソロ・アルバムの制作を決意。1年以上の歳月をかけて楽曲の作曲とデモ制作に没頭しました。

参加アーティスト

アルバムには、イアン・アストベリー（ザ・カルト）、オジー・オズボーン、ファーギー（ブラック・アイド・ピーズ）、マイルス・ケネディ、クリス・コーネル、アンドリュー・ストックデイル（ウルフマザー）、アダム・レヴィーン（マルーン5）、レミー・キルミスター（モーターヘッド）、デイヴ・グロール（フー・ファイターズ）、ダフ・マッケイガン、キッド・ロック、M.シャドウズ（アヴェンジド・セヴンフォールド）、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップ、そして稲葉浩志（B'z）といった、ロック界を代表する豪華なアーティストたちが参加しました。

スラッシュは、完成したデモ音源を各アーティストに送り、楽曲の歌詞やメロディー、アレンジに至るまで、自由な解釈と表現を委ねました。その結果、それぞれのアーティストの個性が際立つ、バラエティ豊かな楽曲が誕生しました。また、海外盤のボーナストラックには、スティーブン・アドラーも参加しており、アクセル・ローズを除くガンズ・アンド・ローゼズのオリジナル・メンバーが全員レコーディングに参加するという、ファンにとっては感涙もののサプライズもありました。

アナログへのこだわり

レコーディングは、現在では珍しいアナログテープを使用して行われました。スラッシュは、アナログ特有の温かみのあるサウンドにこだわり、デジタルでは表現できない独特の質感を生み出すことに成功しました。

楽曲について

アルバムには、ハードロック、ブルース、ポップスなど、様々なジャンルの要素が盛り込まれています。イアン・アストベリーがヴォーカルを務める「ゴースト」は、重厚なギターリフとドラマチックな展開が印象的な楽曲です。オジー・オズボーンが参加した「クルシファイ・ザ・デッド」は、ヘヴィなサウンドとオジーの独特な歌声が融合した、スラッシュらしいハードロックナンバーです。また、ファーギーが歌う「ビューティフル・デンジャラス」は、キャッチーなメロディーと彼女のパワフルなヴォーカルが光る、アルバムの中でも異色の楽曲と言えるでしょう。日本盤ボーナストラックとして収録された「SAHARA」では、稲葉浩志が日本語で熱唱。スラッシュのギターとの見事な融合を果たし、話題を呼びました。

『スラッシュ』は、スラッシュの音楽的なルーツと、彼が影響を受けてきた様々な音楽ジャンルへの愛情が込められた作品です。豪華なゲスト陣とのコラボレーションによって、彼の新たな魅力が引き出されたこのアルバムは、ロックファン必聴の名盤として、今後も長く愛され続けることでしょう。

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