スラムダンク (バスケットボール)

スラムダンク：バスケットボールの華麗な得点技

スラムダンク、または単にダンクとは、バスケットボールにおいて選手が跳躍し、リングより高い位置からボールを直接リングに通して得点する行為を指します。これはフィールドゴールの一種として扱われ、成功すれば2点が加算されます。元NBAアナウンサーのチック・ハーンが「スラムダンク」という用語を作り出す以前は、「ダンクショット」と呼ばれていました。「スラム」は「強く叩きつける」、「ダンク」は「液体に浸す」という意味を持ち、特にアメリカ英語では勢いよく投げ込むニュアンスがあります。

スラムダンクの概要

スラムダンクは、その成功確率の高さと観客を魅了する派手さから、バスケットボールにおいて最も人気のあるプレーの一つです。そのため、スラムダンクは試合だけでなく、NBAオールスターウィークエンドのスラムダンクコンテストのような競技会でも重要な要素となっています。このコンテストは1976年のABAオールスターゲームで初めて開催されました。

1967年から1976年までの間、全米大学体育協会（NCAA）ではダンク行為が禁止されていました。この背景には、当時大学生だったルー・アルシンダー（後のカリーム・アブドゥル＝ジャバー）の圧倒的な優位性があったと考えられています。この禁止令は「ルー・アルシンダー・ルール」とも呼ばれることがあります。また、この禁止令には人種的な動機があったとする見方もあります。当時、大学バスケットボールで活躍していたダンクの名手たちの多くがアフリカ系アメリカ人であり、テキサス・ウエスタン大学が黒人選手主体でNCAA優勝を果たした直後だったからです。

アメリカでは、「スラムダンク」という言葉がバスケットボール以外の文脈でも「確実な成功」を意味する表現として使われることがあります。また、「ダンクされた（be dunked on）」という表現は、相手にダンクを決められ、恥をかいた状況を表す言葉として用いられます。

スラムダンクの歴史

1940年代から50年代にかけて、オリンピック金メダリストのボブ・カーランドは試合中に頻繁にダンクを行っていました。しかし、当時ダンクは相手への侮辱と見なされ、ディフェンス側は攻撃側の選手を威嚇してダンクを阻止しようとしました。しかし、1950年代後半から60年代初頭にかけて、ビル・ラッセルやウィルト・チェンバレンなどの選手がダンクを攻撃的な武器として活用し始めました。ダンクは観客を沸かせ、1970年代にはバスケットボールの標準的なプレーとして定着しました。デイヴィッド・トンプソンやジュリアス・アービングなどの選手たちは、その高い跳躍力で観客を魅了しました。

スラムダンクの種類

スラムダンクには様々な種類があり、それぞれ難易度や動きの複雑さが異なります。基本的なダンクは片手または両手で行いますが、そこからさらに多様な動きが加えられます。例えば、バックボードにボールを当ててからキャッチし、ダブルポンプダンクをするなどの高度な技もあります。

ダブルクラッチ

ダブルクラッチは、ジャンプ中にボールを一度胸元に引き寄せ、腰の下まで下げてから再び頭上に持ち上げてダンクする技です。この動作をスムーズに連続して行うことで、選手の運動能力と滞空時間を見せつけることができます。

トマホーク

トマホークダンクは、片手または両手でボールを頭上に振りかぶるように持ち上げ、ネットに叩き込む技です。両手で行う場合は「バックスクラッチャー」とも呼ばれます。トマホークは比較的難易度が低く、多くの選手が使用する定番のダンクです。

ウインドミル

ウインドミルは、ジャンプ前にボールを腹部に運び、腕を振り上げてボールを円を描くように回してダンクする技です。この際、向心力によってボールが誘導されるため、片手で完了することが多いです。また、ボールを手と前腕の間で保持する「カフ留め」というテクニックを用いることで、より安全かつスピーディーなウインドミルが可能になります。

ビトゥイン・ザ・レッグズ

ビトゥイン・ザ・レッグズは、ジャンプ中に片脚の下を通してボールを利き手に持ち替え、ダンクする技です。このダンクは高い手と目の協調性、柔軟性、滞空時間が必要なため、エキシビションやコンテストでよく見られます。また、このダンクに360度スピンを加えた「360ビトゥイン・ザ・レッグズ」は、特に観客を魅了する高難度の技として知られています。

エルボーハング

エルボーハングは、ダンクをした後、前腕をリングに通して肘をリングにかけ、一時的にぶら下がる技です。この技は2000年のNBAスラムダンクコンテストでヴィンス・カーターが披露し、人気を博しました。

ダンクの変更因子

ダンクには、上記で紹介した基本的な種類に加えて、様々な変更因子を加えることで、さらに高度で難易度の高いダンクを演出することができます。これらの変更因子は、ダンクコンテストでの評価において重要な要素となります。

アリウープ

アリウープは、空中でパスを受け取り、着地する前にそのままダンクする技です。これは試合でもよく見られるプレーであり、特に試合時間やショットクロックが残り少ない場面で使われることがあります。

ベースラインダンク

ベースラインダンクは、コートの境界線（ベースライン）に沿ってバスケットに近づいてダンクする技です。試合ではパスの延長として頻繁に見られ、コンテストでは難易度を高めるために用いられます。

遠距離からのダンク

遠距離からのダンクは、通常のダンクよりもバスケットから離れた位置からジャンプしてダンクする技です。最も一般的なのはフリースローラインからのダンクで、その滞空時間と距離が観客を魅了します。

障害物を越えるダンク

障害物を越えるダンクは、バスケットと障害物の間をジャンプし、空中で障害物を超えてダンクする技です。この技は、自動車や人を飛び越えるなど、様々なバリエーションがあります。

スラムダンクの有効性

2015年の調査によると、スラムダンクはバスケットボールの試合において非常に有効な得点方法であり、特にNBAではその割合が高いことが示されました。

有名なダンク

スラムダンクには、歴史に残る有名なダンクが数多く存在します。以下にいくつか例を挙げます。

1950年代、ウィルト・チェンバレンは12フィートの高さのバスケットリングでダンクを行った。
2000年、ヴィンス・カーターはフランスの選手を飛び越えてダンクした。
タウリアン・フォンテネットは720度回転ダンクを達成した。

NBAスラムダンクコンテスト

NBAスラムダンクコンテストは、毎年開催されるイベントで、数々の名ダンクが生まれています。以下にいくつか例を挙げます。

1986年、身長170cmのスパッド・ウェブが優勝した。
マイケル・ジョーダンは「Leander」と呼ばれるダンクを有名にした。
ヴィンス・カーターは2000年のコンテストで、リバース360ウインドミル、ビトゥイン・ザ・レッグズ、エルボー・ハングを披露した。
ドワイト・ハワードは「スーパーマン」ダンクを実演した。
ネイト・ロビンソンはハワードを飛び越えてダンクした。
* ジャベール・マギーは複数のボールを使ったダンクを披露した。

バックボード破壊

かつては、スラムダンクによってバックボードが破壊されることがありました。これは、リングが激しく引き下げられることで、バックボードのガラスが割れたり、ゴールスタンドが壊れたりする現象です。現在では、バックボードやリングが強化され、そのような事態は少なくなりましたが、過去にはガス・ジョンソンやダリル・ドーキンスなどの選手がバックボードを破壊したことで有名になりました。

女性によるダンク

女性バスケットボールでは、男子に比べてダンクはあまり一般的ではありませんが、近年では多くの選手がダンクを成功させています。リサ・レスリーやブリトニー・グライナーなどの選手は、WNBAで数多くのダンクを記録しており、またキャンデース・パーカーは高校時代にダンクコンテストで優勝しています。2012年のロンドンオリンピックでは、エリザベス・キャンベージがオリンピックで初めてダンクを成功させた女性となりました。

スラムダンクの比喩表現

「スラムダンク」という言葉は、バスケットボール以外の文脈でも、確実な成功や成果を保証されているものを指す比喩表現として使われることがあります。

まとめ

スラムダンクは、バスケットボールにおいて最も華やかでダイナミックな得点方法の一つです。その歴史や種類、競技会での役割、そして比喩表現としての使われ方など、様々な側面から見ても興味深いプレーです。今後もスラムダンクは、バスケットボールファンを魅了し続けるでしょう。

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