全米大学体育協会

全米大学体育協会（NCAA）

全米大学体育協会（NCAA）は、アメリカの大学スポーツを統括する最大規模の団体で、大学間のスポーツ競技を円滑に運営するために設立されました。主要な業務には、さまざまなスポーツクラブの調整や競技会の管理、さらには試合の放映権の取り扱いなどが含まれます。NCAAの本部はインディアナ州インディアナポリスにあります。

歴史

NCAAの起源は20世紀初頭に遡ります。当時アメリカンフットボールの試合は急増しており、選手の負傷や死亡事故が相次いでいました。これを受けて、1905年に当時の大統領セオドア・ルーズベルトが大学スポーツ改革のための会議を開催しました。1906年には合衆国大学間運動協会（IAAUS）が成立し、1910年にNCAAへと改称されました。当初のNCAAは主に競技ルールの管理を行っていましたが、1921年には初の陸上競技大会を主催しました。

1940年代後半から大会の種類が多様化し、1951年にウォルター・バイアーズが代表に就任。1952年には本部がミズーリ州カンザスシティに移り、以降競技会や放映権の管理が強化されることとなります。1973年には大学間をディビジョンI、II、IIIに区分し、奨学金の適用や大会出場資格などの基準を設定しました。また、1982年からは女子リーグも運営されるようになりました。

1999年には組織本部が現在のインディアナポリスに移転し、同年CBSとの間で11年間に60億ドル以上の放映権契約が結ばれるなど、NCAAはメディアとの連携を深めました。

近年、大学スポーツにおける経済的背景や運営の難しさも表面化しており、USAトゥデーによると、1988年から2017年の間に338の運動部が廃部となるなど、競技の存続に厳しい状況があります。

現在の競技と大会

NCAAは、23の異なる競技で90を超える大会を運営しており、約4万人の選手が集うとされています。全ての競技に関わる選手総数は36万人に達します。主な競技にはアメリカンフットボール、バスケットボール、野球、アイスホッケーなどがあり、これらは特にメディアでの注目度が高いスポーツです。

グッズとブランド化

NCAAはその名の下に様々な商品を展開しており、日本でも1980年代からNCAAロゴ入りのアパレル商品が販売されています。また、サントリーが発売したスポーツドリンクのブランド名にもNCAAの名が使われました。

オバノン訴訟

2009年、エド・オバノンなどの元選手たちが、NCAAが彼らの肖像を商用利用しているにもかかわらず無報酬であるとして訴えを起こしました。2014年にはカリフォルニア州の裁判所が原告側の勝訴を認定しました。

結語

全米大学体育協会（NCAA）は、大学スポーツの発展に寄与し続ける一方で、その運営には新たな課題も浮上しています。競技の多様化や商業化が進む中で、選手の権利や公平な運営が今後の重要なテーマとなることでしょう。

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