スリル・ミー

ミュージカル『スリル・ミー』とは

『スリル・ミー』（Thrill Me）は、アメリカの劇作家スティーブン・ドルギノフが、1924年に実際に起きたレオポルドとローブ事件をモチーフに創作したミュージカル作品です。2003年にニューヨークで初演されて以来、オフ・ブロードウェイでも上演され、世界中で人気を博しています。日本では、著名な演出家や俳優によって繰り返し上演され、多くの観客を魅了してきました。

あらすじ

物語は、刑務所の仮釈放審議会から始まります。囚人である「私」は、34年前に犯した罪について語り始めます。

「私」の幼馴染である「彼」は、ニーチェの思想に傾倒し、自身を特別な存在、すなわち「超人」であると信じていました。「彼」は、犯罪を犯すことで得られるスリルに快感を覚え、「私」を巻き込んでいきます。「私」は「彼」への愛情から、互いの欲望を満たすという血の契約を交わし、「彼」の犯罪に加担していくのです。

彼らの犯罪はエスカレートし、放火や窃盗では飽き足らなくなった「彼」は、自らの超人性を証明するため、「私」と共に殺人に手を染めます。無作為に選んだ子供を殺害し、身元を隠蔽するため顔に塩酸をかけ、遺体を遺棄。さらに、身代金要求の脅迫状を送ることで、金銭目的の誘拐に見せかけようとします。

しかし、彼らの計画は綻びを見せ始めます。遺体はすぐに発見され、隠蔽工作の不備から身元も判明。「私」は、犯行時に紛失した眼鏡に不安を募らせます。案の定、眼鏡が発見され、所有者が特定されるのも時間の問題でした。「彼」は、「私」を見捨て、保身に走ります。絶望した「私」は、自首を決意し、「彼」の関与も告白します。

裁判では、「私」の父が雇った弁護士の弁護により、死刑は免れ、二人は99年の実刑判決を受けます。「私」は、「彼」に、わざと眼鏡を遺体近くに落としたこと、そして、永遠に「彼」と共に過ごすことを望んでいたことを告白します。

物語は、仮釈放が認められた「私」が、獄中で亡くなった「彼」の学生時代の写真に語りかける場面で幕を閉じます。

登場人物

ネイサン・レオポルド（日本版：「私」）: 知的で内向的な青年。「彼」に強い愛情を抱き、言われるがまま犯罪に手を染めていく。
リチャード・ローブ（日本版：「彼」）: ニーチェの思想に傾倒し、自身を「超人」と信じる傲慢な青年。スリルを求め、犯罪を繰り返す。

楽曲

ミュージカル『スリル・ミー』は、全編を通してピアノの旋律が印象的な楽曲で構成されています。各楽曲は、登場人物の心理描写や物語の展開を鮮やかに彩ります。

Prelude プレリュード
Why 隠された真実 - Nathan
Everybody Wants Richard 僕はわかってる - Nathan
Nothing Like A Fire やさしい炎 - Richard and Nathan
A Written Contract - Richard and Nathan
Thrill Me スリル・ミー - Nathan and Richard
The Plan 計画 - Richard and Nathan
Way Too Far 戻れない道 - Nathan
Roadster スポーツカー - Richard
Superior 超人たち - Nathan and Richard
Ransom Note 脅迫状 - Richard and Nathan
My Glasses/Just Lay Low 僕の眼鏡/おとなしくしろ - Nathan and Richard
I'm Trying To Think あの夜の事 - Richard and Nathan
Reprise:Way Too Far 戻れない道（リプライズ）- Nathan
Keep Your Deal With Me 僕と組んで - Richard and Nathan
I'm Afraid 死にたくない - Richard
Life Plus 99 Years/Thrill Me(Finale) 九十九年 / スリル・ミー（フィナーレ）- Nathan and Richard

日本版の魅力

日本版『スリル・ミー』は、実力派俳優たちの熱演によって、その人気を不動のものとしています。演出や翻訳も洗練されており、日本人観客の心に深く響く作品となっています。過去には様々な組み合わせでキャストが組まれ、それぞれの「私」と「彼」が独自の解釈で役を演じています。

関連情報

レオポルドとローブ事件
* ジョリエット刑務所

ミュージカル『スリル・ミー』は、二人の青年の愛と犯罪、そして心の闇を描いた、衝撃的な作品です。ぜひ劇場で、その世界観を体験してみてください。

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