スリーピング・ウィズ・ザ・パスト

アルバム『スリーピング・ウィズ・ザ・パスト』の解説

エルトン・ジョンのアルバム『スリーピング・ウィズ・ザ・パスト』は、1989年にリリースされ、彼のキャリアの中でも特に重要な作品として位置づけられています。70年代を黄金期としていた古くからのファンたちにとって、このアルバムはエルトンの復活を象徴するものと受け止められています。特に、ソウルミュージックに傾倒した音作りは、ビリー・ジョエルの『イノセント・マン』から多くの影響を受けていると言われています。

このアルバムには、エルトンにとって初の全英一位シングルとなる「サクリファイス」が収録されています。この曲は当初「ヒーリング・ハンズ」のB面としてリリースされましたが、多くのラジオ局からのリクエストを受けて両A面として再発売される運びとなり、結果的にエルトン名義のシングルセールス一位を達成しました。過去にはキキ・ディーとの連名で「恋のデュエット」が全英一位を獲得した実績もありますが、これは彼にとっての重要なマイルストーンでした。

アルバムのジャケット裏面には、彼のパートナーであるバーニー・トーピンへの感謝のメッセージが記されています。これにより、彼らの長い共同作業と信頼関係が表現されています。さらに、1998年にはシングルのB面曲がボーナストラックとして追加収録されました。

収録曲

『スリーピング・ウィズ・ザ・パスト』には以下の曲が含まれています：
1. ダーバン・ディープ - Durban Deep
2. ヒーリング・ハンズ - Healing Hands
3. ウィスパーズ - Whispers
4. 恋人たちの酒場 - Club At The End Of The Street
5. スリーピング・ウィズ・ザ・パスト - Sleeping With The Past
6. 傷ついた石 - Stones Throw From Hurtin
7. サクリファイス - Sacrifice
8. 聖なる女 - I Never Knew Her Name
9. アメイズ・ミー - Amazes Me
10. ブルー・アヴェニュー - Blue Avenue

ボーナストラックとしては：

• - ダンシング・イン・ジ・エンド・ゾーン - Dancing In The End Zone
• - ラヴ・イズ・ア・カニバル - Love Is A Cannibal

制作スタッフと参加ミュージシャン

このアルバムは、エルトン・ジョンがボーカルとピアノを務め、デイビー・ジョンストンがギターやバックボーカルで参加しています。また、ジョナサン・モフェットはドラムを、ロメオ・ウィリアムズはベースを担当しました。フレッド・マンデルがキーボードやオルガン、さらにはギターソロも手がけ、音楽的な厚みを加えています。

特筆すべきは、バックボーカル陣にも多彩なメンバーが参加している点です。マレーナ・ジーター、ナタリー・ジャクソン、モートネット・ジェンキンスがバックボーカルを担当し、曲の雰囲気を一層豊かにしています。

製作はクリス・トーマスが手掛け、エンジニアにはデヴィッド・ニコラスが勤務し、他にも多くのスタッフがこの作品に携わりました。

『スリーピング・ウィズ・ザ・パスト』は、エルトン・ジョンの音楽家としてのキャリアの中で、大きな意義を持った作品であり、今なお多くのファンに愛され続けています。

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