スリーピング・ディクショナリー

『スリーピング・ディクショナリー』（The Sleeping Dictionary）は、2003年に制作されたアメリカ映画で、劇場公開ではなくビデオ発売のみとなりました。物語は、20世紀前半、大英帝国の植民地であったボルネオ島のサラワクを舞台に展開します。

主人公は、亡き父の意志を継ぎ行政官として派遣された英国人青年ジョン・トラスコットです。サラワクには、現地の言葉を習得するために、現地の女性と寝食を共にする「スリーピング・ディクショナリー」という独特な風習がありました。ジョンは、その風習に従い、美しいイバン族の娘セリマを「スリーピング・ディクショナリー」として迎え入れます。

当初、その風習に反発していたジョンでしたが、セリマの聡明さと美しさに次第に惹かれていきます。二人はやがて愛し合うようになり、ジョンはセリマとの結婚を考え始めますが、それは許されることではありませんでした。二人は別れざるを得なくなり、ジョンは監督官ヘンリーの娘セシルと結婚します。

しかし、運命は二人を再び引き合わせます。ジョンが再びサラワクに赴任すると、セリマは現地の男バラサイと結婚し、ジョンとの間に生まれた息子を育てていました。セリマがジョンと会っていたことに怒ったバラサイはジョンを襲い、ジョンは怪我を負います。その結果、バラサイは死刑を宣告されてしまいますが、ジョンは密かにバラサイを逃がします。その後、行き場を失ったセリマは、新たな行政官ネビルの「スリーピング・ディクショナリー」として雇われますが、ネビルの暴力に耐えかねて逃げ出します。

一方、ジョンのセリマへの深い愛を知った妻セシルは、ジョンにセリマと息子と3人で暮らすことを勧めます。ジョンはセリマを追いかけ再会を果たしますが、そこへネビルが現れ、3人を殺そうとします。間一髪のところを、彼らはヤカタ族に救われます。ジョンはセリマと息子と共に、ヤカタ族と生活することを決意し、物語は幕を閉じます。

登場人物

ジョン・トラスコット: ヒュー・ダンシーが演じました。行政官。
セリマ: ジェシカ・アルバが演じました。イバン族の女性で、「スリーピング・ディクショナリー」を務めます。父親はイギリス人で、母親も「スリーピング・ディクショナリー」でした。
ヘンリー・ブラード: ボブ・ホスキンスが演じました。監督官で、ジョンの上司。
アギー・ブラード: ブレンダ・ブレッシンが演じました。ヘンリーの妻。
セシル・ブラード: エミリー・モーティマーが演じました。ヘンリーの娘で、ジョンの妻となります。
ネビル: ノア・テイラーが演じました。行政官。

この映画は、異文化間の恋愛というテーマを通じて、植民地時代の社会構造や、そこに生きる人々の葛藤を描いています。また、愛と責任の間で揺れ動く主人公たちの姿を通して、人間の普遍的な感情を深く掘り下げた作品と言えるでしょう。

外部リンク

スリーピング・ディクショナリー - allcinema
スリーピング・ディクショナリー - KINENOTE
The Sleeping Dictionary - オールムービー（英語）
The Sleeping Dictionary - IMDb（英語）
* The Sleeping Dictionary - Rotten Tomatoes（英語）

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