スリーピー・フロイド

エリック・オーガスタス・"スリーピー"・フロイドは、1960年生まれのアメリカ合衆国の元プロバスケットボール選手です。身長190cm、体重77kgの体格で、ポイントガードとして活躍しました。

"Sleepy"というニックネームは、彼が10歳の頃につけられたそうです。ジョージタウン大学に進学すると、通算2,304得点という学校記録を樹立しました。4年次には、パトリック・ユーイングと共にチームを39年ぶりのNCAAトーナメント決勝に導き、オールアメリカ1stチームに選出されるなど、目覚ましい活躍を見せました。

1982年、フロイドはNBAドラフト全体13位でニュージャージー・ネッツに入団しました。しかし、ルーキーシーズンの途中でゴールデンステート・ウォリアーズにトレードされます。ウォリアーズでは、パービス・ショートやジョー・バリー・キャロルらと共に主力として活躍し、プロ3年目の1984-85シーズンには、自己最高の平均19.5得点を記録しました。

1986-87シーズンは、フロイドにとってキャリアイヤーとなりました。平均18.8得点10.3アシスト（リーグ2位）という好成績を収め、自身唯一のオールスター出場を果たしました。1986年12月6日のダラス・マーベリックス戦では、自己ベストとなる41得点を記録しています。ウォリアーズはこの年、42勝をあげて10年ぶりにプレーオフに進出しました。

プレーオフ1回戦ではユタ・ジャズを破り、カンファレンス準決勝でロサンゼルス・レイカーズと対戦しました。0勝3敗と追い込まれた第4戦、フロイドは第4クォーターで12連続得点を含む51得点と大爆発し、チームを勝利に導きました。この試合で記録した1クォーター29得点及びハーフ39得点は、現在でもプレーオフ記録として破られていません。ウォリアーズは第5戦で敗れ、カンファレンス決勝進出はなりませんでしたが、第4戦におけるフロイドのパフォーマンスは、アナウンサーの"Sleepy Floyd is a Superman!"という名実況と共に、NBAプレーオフ史に刻まれました。

フロイドは翌シーズンも平均21得点と好調を維持しましたが、シーズン序盤の12月にヒューストン・ロケッツに移籍しました。ロケッツでは当初先発を務めましたが、1990年以降は主にシックスマンとしてプレーしました。1991年2月26日のデンバー・ナゲッツ戦では、わずか24分の出場で40得点をあげるという離れ業を演じています。1993年8月にロケッツからリリースされた後は、サンアントニオ・スパーズと契約し、翌1994年にはキャリア最初期を過ごしたニュージャージー・ネッツに戻りました。ネッツで1シーズンプレーした後、1995年に現役を引退しました。

NBAでの通算成績は、957試合に出場し、12,260得点5,175アシスト（平均12.8得点5.4アシスト）でした。

引退後は、レストランや財務管理会社の経営に携わる傍ら、バスケットボールのユースチームのコーチも務めています。2014年には、デニス・ロドマンらと共に北朝鮮を訪問し、エキシビションゲームに参加しましたが、金正恩の誕生日を祝賀するための試合であったと後悔を口にしています。

フロイドは、そのプレースタイルと愛嬌のある人柄で、多くのファンを魅了しました。また、プレーオフで見せた爆発的なパフォーマンスは、NBA史に残る名場面として、今も語り継がれています。

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