スロベニア人民解放委員会

スロベニア人民解放委員会（SNOS）は、第二次世界大戦中に枢軸国の占領下にあったスロベニアにおける反ファシズム運動の最高機関として設立されました。ヨシップ・ヴィドマルが議長を務め、占領下におけるスロベニアの解放と将来を導く重要な役割を果たしました。

1944年2月19日、SNOSはチュルノメリで開催されたスロベニア人民解放戦線の120人のメンバーによる総会で、その名称を新たに定め、スロベニアの臨時議会としての地位を確立しました。この総会における最大の決定の一つは、終戦後のスロベニアをユーゴスラビアの構成国として位置づけることを決定したことです。この決定は、戦後のスロベニアの政治的、社会的な方向性を決定づける重要なものでした。

枢軸国の占領下という厳しい状況下にもかかわらず、SNOSは単なる象徴的な存在にとどまることはありませんでした。SNOSの指揮下には様々な組織が置かれ、実質的な活動を展開しました。その一例として、1944年8月19日にSNOSはスロベニア統計局を設立し、戦後の国家運営に必要な基礎データを収集・分析する体制を整えました。これは、解放後のスロベニアの復興と発展に向けた具体的な取り組みを示すものです。

終戦後の1945年5月5日、SNOSは公的にはまだイタリア領であったヴェネツィア・ジュリア地方のアイドウシュチナで最後の会議を開きました。この会議で、共産主義の指導者であるボリス・キドリッチを大統領に選出し、正式にスロベニア政府を樹立しました。これにより、スロベニアは新たな政府の下で再出発し、ユーゴスラビアの一員として社会主義国家建設へと歩みを進めることとなりました。

SNOSは、第二次世界大戦という未曾有の危機の中、スロベニアの解放と独立のために重要な役割を果たした組織です。その活動は、戦後のスロベニアの政治、経済、社会の発展に大きな影響を与えました。

関連事項：
スロベニア共産主義者同盟
スロベニアの歴史
スロベニア議会
パルチザン
* ユーゴスラビア人民解放戦争

もう一度検索