スワンの涙 (曲)

スワンの涙

「スワンの涙」は、日本の人気グループサウンズ、オックスによって1968年12月10日に発表されたシングル楽曲です。ビクターレコード（現在のJVCケンウッド音楽レコード事業部にあたる）よりリリースされました。

楽曲制作と背景

この楽曲の作詞は橋本淳氏、作曲および編曲は筒美京平氏が手掛けました。オックスにとって、この「スワンの涙」はグループの方向性を決定づける重要な作品となりました。というのも、先行してリリースされたシングルの販売実績が想定よりも伸び悩んでいたからです。この状況を打破するため、制作陣は新たな戦略を打ち出しました。

具体的には、当時の歌謡曲としての側面をより強調する方向性を採用し、リードボーカルである野口ヒデト氏のソロ歌唱を前面にフィーチャーした構成を取り入れました。この路線変更は功を奏し、多くのリスナーに受け入れられる結果となりました。

ヒットの経緯と特徴

「スワンの涙」は、この戦略的な変更が見事に成功し、累計25万枚を超えるセールスを記録する大ヒットとなりました。オリコンチャートにおいても、最高位7位を獲得し、オックスにとって最大のヒット曲としての地位を確立しました。

楽曲の大きな特徴の一つとして、間奏部分にリードボーカルを務める野口ヒデト氏による印象的なセリフが含まれている点が挙げられます。このセリフが、聴衆に強い印象を与え、楽曲のドラマ性を高める要素となりました。

B面曲：オックス・クライ

このシングルのB面には「オックス・クライ」が収録されています。こちらも「スワンの涙」と同様に、作詞は橋本淳氏、作曲および編曲は筒美京平氏が担当しました。

「オックス・クライ」は、ホーンセクションが導入されたパワフルなサウンドが特徴です。さらに、ライブ会場を彷彿とさせるファンの歓声が楽曲に取り入れられており、当時のグループサウンズの熱狂的な雰囲気を伝える一曲となっています。

収録曲

スワンの涙
オックス・クライ

（両曲とも作詞:橋本淳 / 作曲・編曲:筒美京平）

主なカバーバージョン

「スワンの涙」は、そのヒットと楽曲性の高さから、後年多くのアーティストによってカバーされています。

ジュディ・オング（1969年、アルバム『粋なうわさ／橋本淳・筒美京平 ゴールデン・アルバム』収録）
奥村チヨ（1969年、アルバム『あなたとチヨと…』収録）
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ（1971年、アルバム『G.S.R.』収録）
江川ひろし（1974年、アルバム『花嫁は泣いていた』収録）
ダウン・タウン・ブギウギ・バンド（1976年、アルバム『G.S.』収録）
Mi-Ke（1991年、両A面シングル「好きさ好きさ好きさ」収録。元オックスの真木ひでと氏がセリフと歌で特別参加しています。）
近田春夫&ハルヲフォン（2008年、アルバム『リメンバー・グループ・サウンズ』収録）
小曽根実トリオ（2009年、アルバム『11PM 小曽根実トリオ〜ハモンド・オルガンの魅力』収録）
桑田佳祐（2014年、DVD・BD『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』収録）
南佳孝（2016年、アルバム『ラジオな曲たち〜NIGHT&DAY〜』収録）
吉幾三（2019年、アルバム『あの頃の青春を詩う vol.4 グループサウンズ編』収録）

B面曲「オックス・クライ」もカバーされています。

LULU'S MARBLE（1997年、アルバム『K.T.ゴールデン・リスペクターズ〜筒美京平グレーテスト・カヴァーズ』収録）

関連情報

筒美京平氏の作曲家活動40周年を記念したCD-BOX『THE HIT MAKER -筒美京平の世界-』にも、「スワンの涙」は収録されており、日本のポピュラー音楽史におけるその重要性が示されています。

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