スワンソング・レコード

スワンソング・レコード：レッド・ツェッペリンが創造したレーベルの軌跡

スワンソング・レコードは、1974年5月10日にイギリスのロックバンド、レッド・ツェッペリンによって設立されたレコードレーベルです。レッド・ツェッペリンのメンバーは、アトランティック・レコードとの契約満了を機に、より自由な表現を求めて独自のレーベル設立を決意しました。

レーベル設立の背景と概要

1973年、レッド・ツェッペリンはアトランティック・レコードとの契約更新にあたり、更なる表現の自由を求めました。その結果、自らのレーベルを設立するという決断に至り、スワンソング・レコードが誕生しました。マネージャーのピーター・グラントが経営を担い、「既存のレーベルに所属できない才能あるアーティストを支援する」という理念を掲げ、1974年にプリティ・シングスのアルバムを প্রথম弾としてリリースしました。その後、レッド・ツェッペリン自身も6thアルバム『フィジカル・グラフィティ』をスワンソングからリリースしています。

スワンソング・レコードには、バッド・カンパニー、プリティ・シングス、デイブ・エドモンズなどのアーティストが所属し、ビルボードトップ200に4枚のアルバムを送り込むなど、一定の成功を収めました。しかし、1980年にレッド・ツェッペリンが解散し、さらにピーター・グラントの健康状態が悪化したことが重なり、レーベルは解散へと向かいました。その後、ジミー・ペイジとジョン・ポール・ジョーンズはアトランティック・レコードに戻り、ロバート・プラントは自身のレーベル「エス・パランザ・レコード」を設立しました。

レーベル名の由来

レーベル名の「スワンソング」は、レッド・ツェッペリンのバラードの新曲を聴いたエンジニアが「まるでスワン・ソングだ…」と感嘆したことがきっかけで生まれました。「スワン・ソング」とは、白鳥が死ぬ間際に発する非常に美しい鳴き声、あるいは英語の慣用句で「辞世の句」に近い意味を持ちます。レッド・ツェッペリンはこの表現を気に入り、新曲のタイトルにすることを検討しましたが、最終的にその新曲は「テン・イヤーズ・ゴーン」というタイトルになりました。しかし、「スワン・ソング」という言葉はジミー・ペイジの心に残り続け、新レーベル設立の際に採用されることとなりました。

レーベルのロゴ

スワンソング・レコードのロゴは、イギリス系アメリカ人の画家、ウィリアム・リマーが1869年に描いた作品『Evening, Fall of Day』を基にしています。この作品はギリシア神話のアポロの物語をテーマにしたもので、『イカロス』や『ルシファー』を描いたものではないとされています。

会社組織

スワンソング・レコードは、以下の組織体制で運営されていました。

社長(President)：ピーター・グラント (1974年-1983年)
アメリカ支社長(US Vice-President)：ダニー・ゴールドバーグ (1974年-1976年)
イギリス支社長(UK Vice-President)：エイブ・ホック (1974年-1976年)
副社長(Vice－President)：アラン・カラン (1977年-1983年)

関連項目

レコード会社一覧
レッド・ツェッペリン
ピーター・グラント
バッド・カンパニー
* フィジカル・グラフィティ

スワンソング・レコードは、短い活動期間でありながらも、レッド・ツェッペリンの音楽的な独立を象徴する存在として、音楽史にその名を刻んでいます。

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