スーパーコダック620

スーパーコダック620は、イーストマン・コダック社が1938年に発表した、世界で初めて自動露出(AE)機構を搭載した画期的なカメラです。当時としては珍しい自動露出機能を実現したこのカメラは、その先進的な技術とデザインで、カメラ史に名を刻みました。

主な特徴

自動露出(AE)機構: スーパーコダック620の最大の特長は、セレン光電池を使用した露出計と連動して、絞り値を自動的に決定する機能です。これにより、撮影者は露出設定に煩わされることなく、より撮影に集中することが可能になりました。
セレン光電池式露出計: カメラ前面の大部分を占める大型のセレン光電池が、入射光を測定します。この露出計によって得られた情報が、絞り機構にフィードバックされます。
620フィルム: 当時の一般的なフィルム規格である620フィルムを使用し、6×9cm判で8枚撮影が可能です。
レンズ: 5枚構成のコダック・アナスチグマット100mm F3.5レンズが搭載されています。このレンズは、上下像合致式の距離計と連動しており、正確なピント合わせが可能です。
シャッター: 1秒から1/400秒までのシャッタースピードに対応し、セルフコッキング機構を備えています。
絞り: シャッタースピードと露出計に連動して、絞りが自動的に設定されます。これにより、常に最適な露出が得られるように設計されています。
* フォールディングカメラ: コンパクトに折り畳めるフォールディングカメラ形式を採用しています。前蓋が上下に分かれるという、当時としては非常に斬新なデザインが特徴です。

デザインと設計

スーパーコダック620は、その革新的な技術だけでなく、デザイン面でも高い評価を受けています。このカメラの設計はジョゼフ・ミハリィが担当し、デザインはウォルター・ドーウィン・ティーグが手掛けました。彼らの協力によって、機能性と美しさを兼ね備えたカメラが誕生しました。

技術革新

このカメラの登場は、露出を自動化するという点で写真撮影の歴史における大きな転換点となりました。それまで、露出設定は撮影者の経験や知識に頼る部分が大きかったのに対し、スーパーコダック620は、露出計と連動した自動絞り機構により、誰でも簡単に適正露出の写真が撮影できるようになりました。この技術は、その後のカメラ開発に大きな影響を与え、今日のデジタルカメラにも引き継がれています。

まとめ

スーパーコダック620は、1938年に登場した世界初の自動露出(AE)カメラであり、その革新的な技術とデザインは、カメラ史において重要な位置を占めています。自動露出機構、正確なレンズ、そして斬新なデザインは、当時の写真愛好家から高い評価を受けました。その先進的な機能は、後のカメラの発展に多大な影響を与え、現在でもその歴史的な意義が語り継がれています。

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