スーパーマリン シーファング

スーパーマリン シーファング

スーパーマリン シーファング（Supermarine Seafang）は、イギリスのスーパーマリンによって製造された単発レシプロ単座の艦上戦闘機です。この機体は、第二次世界大戦末期に登場したスーパーマリン スピットファイアの発展型であるスパイトフルを基に開発されました。しかし、戦争の終結に伴い、シーファングは極めて限られた数しか生産されませんでした。

機体の概要

シーファングの初飛行は1944年6月で、新鋭戦闘機スーパーマリン スパイトフルを艦載用に改良した形式です。シーファングという名称は「海の牙」を意味し、その高速性能が注目されました。原型となるスパイトフルは最高速度が750 km/hを超える能力を持ち、当時の主力艦上戦闘機であるシーファイアの後継機として期待されていました。

シーファングには、評価試験用のMk.31と量産型のMk.32の2つのバージョンが存在します。Mk.31は元のスパイトフルに着艦フックを付けただけのシンプルな改造でした。一方、Mk.32はより複雑な改良が加えられ、油圧式の主翼折りたたみ装置や増大した燃料タンク、そして3枚ブレードの二重反転プロペラを備えていました。

1945年5月には150機の大量生産が発注されたものの、第二次世界大戦の終結により発注はキャンセルされ、実際に生産されたのはわずか18機でした。この時期、ホーカー シーフューリーが初飛行し、こちらが次期艦上戦闘機に選ばれたことも、シーファングの運命に影響を与えました。その結果、シーファングは1948年頃までも僅かに評価試験用として実験部隊で使用されました。

性能と仕様

シーファングの主な性能は以下の通りです：

• - 全幅：10.7 m
• - 全長：10.0 m
• - 全高：3.8 m
• - 自重：3,629 kg
• - 総重量：4,740 kg
• - エンジン：ロールス・ロイス グリフォン89液冷V型12気筒（2,375馬力）×1
• - 最大速度：764 km/h
• - 航続距離：632 km
• - 武装：ブリティッシュ・イスパノ20mm機関砲×4（翼内）、爆弾456 kg、ロケット弾×4
• - 乗員：1名

このように、スーパーマリン シーファングは、その性能とデザインにおいて非常に興味深い機体でありながら、歴史の中で短命に終わった戦闘機であるといえるでしょう。戦闘機全体の発展史を考える上で、この機体の存在は重要な一部分を成しています。

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