スーパーマンIII/電子の要塞

『スーパーマンIII/電子の要塞』の世界

『スーパーマンIII/電子の要塞』は、1983年に公開されたアメリカ・イギリス合作のスーパーヒーロー映画で、監督はリチャード・レスターが務めています。シリーズ第3作となる本作は、クリストファー・リーヴがスーパーマン／クラーク・ケント役を再び演じ、リチャード・プライヤーが新たなキャラクターとして参加しています。

映画の概要

1978年に始まったスーパーマン映画シリーズの3作目として、物語は悪役がレックス・ルーサーからウェブスター姉弟へと移り変わります。また、ヒロインもロイス・レーンからラナ・ラングに交替しています。意外なことに、レックス・ルーサーを演じたジーン・ハックマンは、この作品には出演していません。この映画の原案は『スーパーマンvs.スーパーマン』というタイトルで、いわば番外編的な立ち位置にあります。

リチャード・レスターは、既存のスラップスティックコメディの要素を織り交ぜながら新たなストーリーを展開し、特にリチャード・プライヤーを起用することでコメディ要素が大幅に強化されました。前作のセルフ・パロディとも取れるこの作品では、リーヴが二役を演じ、悪の人格となったヒーローと善のクラーク・ケントが対決するシーンが描かれています。

ストーリー展開

物語は、ガス・ゴーマンというプログラマーがウェブスコー社で働くところからスタートします。彼は自ら開発したプログラムを使って未払いの給料を横領するという行動に出ますが、社長のロス・ウェブスターに見破られてしまいます。その後、ガスはウェブスターの命令に従わざるを得ない状況に陥ります。

同時に、クラーク・ケントはスモールヴィルでの高校の同窓会に参加するため取材旅行をします。この同窓会で再会したラナ・ラングとの関係が物語を進行させる重要な要素となり、彼女とともに様々な出来事に巻き込まれていきます。

ウェブスターは気象衛星を利用してコロンビア共和国に竜巻を起こし、コーヒー市場を掌握しようと企てます。ガスもこの計画に加担を強いられますが、スーパーマンは衛星の影響を無力化し、事態を収拾しようと奮闘します。さらに、ウェブスターはガスにクリプトナイトを作り出すよう命令し、悪のスーパーマンが誕生するという展開が待ち受けています。

キャラクターの描写

ガス・ゴーマンはリチャード・プライヤーが演じ、運に見放され続ける男でありながら、急に天才的なコンピュータスキルを持つことが明らかになります。彼の性格は臆病で小悪党に近いですが、意外に魅力があります。

ロス・ウェブスターは多くの企業を束ねる悪役であり、彼が目をつけたガスを操る様子は観客に緊張感を与えます。ウェブスターの姉ヴェラと甘い誘惑の立場にあるローレライも、ストーリーのいたずら心をさらに引き立てます。

映画の評価

『スーパーマンIII/電子の要塞』は批評家の間で評価が分かれ、Rotten Tomatoesでは高評価が30%という結果に。映画半ばのギャグやドタバタにより、過去の作品からの焼き直しと評価される部分もありますが、そのユーモアやリチャード・プライヤーの存在感は評価に値します。

本作は、スーパーマンの人間性や葛藤、そしてコメディ要素が融合した作品として、観客に楽しさだけでなく深いメッセージをも届けています。スーパーマンが次の冒険のために飛び立つラストシーンは、ファンにとっての期待を膨らませる締めくくりでもあります。

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