スーパーラグビー・トランスタスマン

スーパーラグビー・トランスタスマン（英語: Super Rugby Trans-Tasman）は、南半球最高峰のラグビーユニオン大会であるスーパーラグビーの歴史において、特別な位置を占める短期集中型の交流戦でした。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが世界的に拡大し、各国間の移動が制限された影響で、従来の国際的な枠組みでのスーパーラグビーの開催が困難となったことを受け、2021年に一度限り開催された大会です。

開催の背景

2020年、パンデミックの影響はスーパーラグビーにも及び、シーズン途中で中断を余儀なくされました。翌2021年シーズンに向けて、オーストラリアとニュージーランドは、それぞれ国内のチームのみで構成される特別大会を企画・実施しました。これがスーパーラグビーAU（オーストラリア）とスーパーラグビー・アオテアロア（ニュージーランド）です。これらの国内リーグ形式の大会が一定の成功を収める一方で、両国間のチームが真剣勝負で対戦する機会を求める声が高まりました。このような背景から、スーパーラグビーAU終了後に続いて、オーストラリアとニュージーランドの強豪同士が激突するクロスオーバーマッチシリーズとして、スーパーラグビー・トランスタスマンが企画・実現されました。

2021年シーズンの形式と結果

この大会には、スーパーラグビーAUから5チーム、そしてスーパーラグビー・アオテアロアから5チームの、合わせて10チームが参加しました。大会形式は、まず参加チームが自国のリーグに属さない相手国チーム全てと一度ずつ対戦する総当たり戦（各チーム5試合）を実施。そのレギュラーシーズンの成績に基づき、上位2チームが決勝に進出し、年間王者を決定しました。

2021年シーズンの決勝戦は、ニュージーランド勢であるブルーズとハイランダーズの間で行われました。激戦の末、ブルーズが23対15でハイランダーズを下し、初代にして唯一のスーパーラグビー・トランスタスマン王者としてその名を刻みました。

その後のスーパーラグビー

スーパーラグビー・トランスタスマンは、あくまでパンデミックという特殊な状況下での一時的な措置として開催された大会であり、2021年限りで終了しました。この大会を通じて、オーストラリアとニュージーランド間のチーム交流の重要性が再確認されたこともあり、翌2022年からはスーパーラグビーは「スーパーラグビー・パシフィック」と名称を改め、新たな体制で再出発を果たしました。

スーパーラグビー・パシフィックでは、オーストラリアとニュージーランドからそれぞれ6チームずつに加え、フィジーとトンガからのチームも参加し、より幅広い地域をカバーするリーグへと発展しました。これは、スーパーラグビー・トランスタスマンが果たした、コロナ禍における地域内の競争力維持と国際交流の試みが、その後のリーグ再編に繋がったとも言えます。

関連事項

スーパーラグビー・トランスタスマンと同じ時期には、各国で類似の特別大会が開催されていました。

スーパーラグビーAU: 2020年と2021年にオーストラリア国内で開催されたスーパーラグビー特別大会。
スーパーラグビー・アオテアロア: 2020年と2021年にニュージーランド国内で開催されたスーパーラグビー特別大会。
* スーパーラグビー・アンロックト: 2020年に南アフリカ国内で開催されたスーパーラグビー特別大会。

これらの大会は、いずれもパンデミックによる国際移動の制限下で、各国のラグビー活動を継続し、選手の競技レベルを維持するために重要な役割を果たしました。スーパーラグビー・トランスタスマンは、その中でも特にオーストラリアとニュージーランドという、伝統的に強いライバル関係にある両国のチームが直接対決する機会を提供した点で、特別な意義を持っていたと言えます。

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