スーパー歌舞伎

スーパー歌舞伎の概要

スーパー歌舞伎は、1986年に三代目市川猿之助によって始まった新しい形の歌舞伎であり、従来の歌舞伎とは異なる現代的な演出が特徴です。主に新橋演舞場などで上演されるこの演目は、古典歌舞伎の様式を取り入れつつ、現代の価値観や感情を反映した物語を展開します。

スーパー歌舞伎の特長

三代目市川猿之助は、エンターテインメントの要素を取り入れた「猿之助歌舞伎」で有名でしたが、スーパー歌舞伎ではさらに一歩進んだ演出を行っています。古典歌舞伎の踊りや立ち回り、見得、ケレンと呼ばれる観客の驚きを誘う演出、隈取り、下座音楽などの技術を精緻に使い、さらには中国の古典や日本の古代神話など多様な題材を選んでいます。猿之助自身は「真に現代人の心に響く物語性」を重要視し、壮大で力強い物語が基盤となっています。

制作過程では現代劇や京劇といった他のジャンルからもキャストやスタッフが参加し、現代的な照明や舞台装置、華やかな衣装とともに独特の世界観を創り出します。このようにして、スーパー歌舞伎は現代劇と古典歌舞伎が融合した新しい舞台芸術となっています。特に「ストーリー」「スピード」「スペクタクル」という「3S」を重視しており、従来の歌舞伎作品にはなかった新しい要素を強調しています。

歴史と成り立ち

スーパー歌舞伎のアイディアは、創始者である三代目市川猿之助と脚本家の梅原猛との対話の中から生まれました。彼らは、古典歌舞伎の持つ美意識や演技技術を評価しつつも、物語自体が過去の世界観や道徳観に囚われていることを指摘し、より現代人の心に響く“新・新歌舞伎”の創造を目指しました。その結果、1986年に初演された『ヤマトタケル』がスーパー歌舞伎の誕生の瞬間となりました。

代表的な作品

スーパー歌舞伎の作品群は多数あり、初演された作品は多種多様です。例えば、1986年の『ヤマトタケル』を皮切りに、1989年の『リュウオー・龍王』、1991年の『オグリ・小栗判官』、1993年の『八犬伝』などが挙げられます。また、1999年に上演された『新・三国志』や、その続編も人気を博しました。

さらに、スーパー歌舞伎の要素を取り入れた「スーパー歌舞伎II」も展開されています。こちらは、四代目市川猿之助を中心に2014年からさまざまな作品を上演しており、原作に基づいた現代風アレンジが戸惑いも呼び起こしています。たとえば、人気漫画『ONE PIECE|ONE_PIECE』や、日本の昔話『竹取物語』を題材とした作品が生まれています。

スーパー喜劇

スーパー歌舞伎の枠を広げようとする試みとして、「スーパー喜劇」も存在します。これは、三代目市川猿之助が監修を務め、喜劇とのコラボレーションを目指したプロジェクトです。藤山直美をはじめとする喜劇の専門家と、猿之助の一門の俳優たちが共演し、新たなエンターテインメントを提供しました。

結論

スーパー歌舞伎は、伝統的な歌舞伎の枠を超えた新たな舞台芸術であり、現代に生きる人々の心に響く物語を通じて、観る者に強い印象を与え続けています。その創作過程や多様なテーマは、今後も歌舞伎の新しい道を切り開くことでしょう。

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