ズリーニィ

ズリーニィ (Zrínyi) について

ズリーニィは、第二次世界大戦期間中にハンガリーで設計・製造された自走砲です。主に105mmの榴弾砲を搭載したズリーニィIIが開発され、約70両が1943年から1944年の間に生産されました。ズリーニィの名称は、16世紀にトルコに対する戦闘で名を馳せたハンガリーの民族的英雄に由来しています。この装甲車両は、ハンガリーの戦争史において重要な存在であり、その成功が評価されています。

開発と製造

1942年の夏、ハンガリー国防省の自動車・戦闘車両課が、ドイツ国防軍の突撃砲の成功に刺激を受けて、自国の装備として同様の車両を開発する提案を行いました。当時、ドイツからの供給は不足していたため、ハンガリーは自国の資源を使って新たな突撃砲を設計しました。

マンフレート・ヴァイス社が開発を担当し、トゥラーン中戦車のコンポーネントを流用した設計が行われました。主砲にはハンガリー製の105mm榴弾砲40Mが採用されましたが、この砲は過去に駐退復座機構に問題があり、使用できなかった在庫品を活用することとなりました。

試作車両の完成後、1943年1月には第1ロットとして40両の生産が決定されました。この間、構造の改良が施され、固定式の戦闘室や操作席の配置が見直されました。初期の生産では装甲鋼板が間に合わず、訓練用として軟鉄製の車両が用意されましたが、1944年には完全装備の37両が引き渡されました。

また、長砲身の75mm戦車砲を搭載する対戦車型であるズリーニィIのプロトタイプも計画されましたが、資材不足から生産はほぼ実現しませんでした。最終的に、ズリーニィの生産は1944年に工場が爆撃されるなどの要因で中断され、マンフレート・ヴァイス社では60両、ガンズ社では6両のみが完了しました。現在、唯一現存するズリーニィIIがロシアのクビンカ戦車博物館に展示されています。

戦歴

ズリーニィIIは、完成後すぐに第1突撃砲大隊に配備され、訓練を経て1944年4月に東部戦線へ赴きました。初戦では、友軍部隊の撤退を支援する役割を果たし、敵の攻撃に対しても果敢に立ち向かいました。特に、1944年7月からのソ連軍の進攻において、同大隊の一部隊は大きな損失を出しながらも戦い抜きました。

他の突撃砲大隊でも少数のズリーニィが配備されましたが、実際の戦闘ではドイツ製の武器が主に使われました。それでも、ズリーニィを装備した部隊はブダペスト防衛戦など、国内での防衛戦を戦い抜く重要な役割を果たしました。

バリエーション

• - 40/43M ズリーニィII (ズリーニィ105) : 105mmの砲を搭載した唯一の生産型。60両以上が完成し、戦車の側面には成形炸薬弾から守るための追加装甲が取り付けられました。

• - 44M ズリーニィI (ズリーニィ75) : 75mm砲を装備した対戦車型。これは他のモデルの後発として開発されましたが、試作車が1両のみ製造されました。

このように、ズリーニィはハンガリーの戦闘車両の進歩を象徴する存在であり、その設計や戦歴は現在においても多くの歴史愛好家や専門家に注目されています。

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