ズンビ・ドス・パルマーレス

ズンビ・ドス・パルマーレスの伝説

ズンビ・ドス・パルマーレス（Zumbi dos Palmares、1655年? - 1695年11月20日）は、17世紀のブラジルにおいて、逃亡奴隷たちによって形成された最大規模のキロンボである「キロンボ・ドス・パルマーレス」の最後の指導者として知られています。彼は先代の指導者ガンガ・ズンバの甥であり、あるいは養子であったとも言われています。ズンビは自身の故郷アラゴアス州マセイオ付近で誕生し、その後、奴隷商人によって捕らえられ、ペルナンブーコ州の司祭に引き渡されました。司祭の手によって、彼はフランシスコという名でキリスト教の教育を受けることになります。

総力を結集しての抵抗

ズンビは、15歳の時に故郷へ戻され、その後ガンガ・ズンバの側近としてキロンボの指導を担います。彼の指導の下、キロンボ・ドス・パルマーレスは、ポルトガル政府軍の攻撃に対して24回もの防衛戦を展開し、自由を求める戦士たちを鼓舞しました。しかし、1694年には疲弊し、キロンボの存続が困難になり、彼は仲間たちとともに新たな選択を迫られます。

不死の象徴としてのズンビ

1695年、ズンビと彼の同志たちは最後の抵抗を試みますが、ドミンゴス・ジョルジ・ヴェーリョに率いられたポルトガル軍の攻撃によって、彼は捕らえられてしまいます。彼の命は短く、斬首され、遺体はレシーフェの広場に晒されることになりました。そのため、ズンビは「不死のズンビ」と呼ばれるようになり、彼の名は続く世代へと引き継がれることとなります。ポルトガル兵たちは、彼の首を槍に掛けて飲食を共にし、彼を恐れる一方でその存在を称えていたのです。

記憶と称賛

命日である11月20日は、多くの自治体において「黒人意識の日」として祝日となっており、ズンビの不屈の精神は今なお多くの人々に鼓舞を与えています。1999年には、ブラジル・マセイオの「カンポ・ドス・パルパレス空港」が「ズンビ・ドス・パルマーレス空港」と改名され、彼の名が未来永劫に残ることとなりました。

名前の由来と文化的背景

檀原照和は、ズンビという名前の語源についても興味深い考察を行っています。彼によれば、「ズンビ」という名は、コンゴ地域で伝えられる「Nzumbi」という語に由来し、神や霊的存在を指している可能性が示唆されています。アフリカの文化的な背景を考えると、ズンビは単なる歴史上の人物ではなく、自由を求める人々の象徴としての存在意義を持つのです。

このように、ズンビ・ドス・パルマーレスの物語は、単なる過去の歴史にとどまらず、今日における社会、文化、そしてアイデンティティの問題を考える上で重要な指針となっています。

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