セアファウス地下鉄

セアファウス地下鉄について

セアファウス地下鉄（U-Bahn Serfaus）は、オーストリアのチロル州に位置するセアファウスで運行されるユニークな交通機関です。この地下鉄は空気浮上式ケーブルカー方式を採用しており、無人運転の形式をとっています。特に注目すべきは、世界で最も高所にある空気浮上式鉄道であるという点です。以前は「ドルフバーン・セアファウス」という名称で親しまれており、日本語では「セアファウス村鉄道」と訳されます。

運行を手掛けているのは、ザイルバーン・コンパーデル社（Seilbahn Komperdell GmbH）です。この地下鉄は村の中心部、特にドルフバーン通りの真下を通るように設計されており、村の東端にある大型パーキングエリアのパークプラッツ駅と、西端のスキー場ゴンドラリフト乗り場前にあるザイルバーン駅を結んでいます。全長1,280メートルのこの路線は、日中の運行時間帯である7:45から18:45の間に、9分から11分の間隔で運行されています。セアファウスの中心部は、自動車の進入が制限されているため、この地下鉄が非常に便利な移動手段となっています。

また、中間駅としてキルヒェ駅とツェントルム駅が設置されているものの、路線は単線のため、乗客が多い時間帯には一方通行でのみ利用が可能です。トンネルの幅は3メートル、高さは3.3メートルとなっており、走行速度は40キロメートル毎時に達します。列車は3両編成で構成され、最大で440人が乗車することができ、1時間当たり3,000人を輸送する能力があります。年間平均で150万人以上の乗客がこの地下鉄を利用しています。

歴史

セアファウスは周辺のフィスとラディス地区とともに人気のスキーリゾート地となっており、シーズン中には多くのスキーヤーが訪れます。これに伴い、村内の交通渋滞が問題となり、1970年にはドルフバーン通りが車両通行禁止となりました。その結果、訪れる観光客はシャトルバスを利用して移動しましたが、徐々に運行能力が不足してきました。

この問題を解決するため、1983年12月に村議会で空気浮上式の鉄道建設案が承認され、1984年に工事が開始されました。1985年12月14日に初めて運行を開始し、1986年1月16日には正式に開業を迎えました。その後も、2017年春にはリニューアル工事が行われ、駅の改装や新型車両への更新、バリアフリー対応が進められました。

事故

しかし、運行開始以来、完全にトラブルがなかったわけではありません。2019年9月4日には、電気系統における地絡問題が発生し、列車が自動的に緊急停止する事態が生じました。この際、一部の乗客が転倒し、13名が軽傷を負う事故が起きています。これらの事例は、安全運行の重要性を改めて認識させるものとなりました。

駅一覧

セアファウス地下鉄は、利便性と快適性を兼ね備えた交通手段として、今後も多くの人々に利用され続けることでしょう。

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