セイェ・ゼルボ

セイェ・ゼルボ：ブルキナファソの激動の時代を生きた軍人政治家

セイェ・ゼルボ（Saye Zerbo、1932年8月27日 – 2013年9月19日）は、西アフリカの国、オートボルタ（現在のブルキナファソ）の軍人であり、政治家です。彼は1980年から1982年まで、同国の国家元首として政権を担いました。

フランス軍でのキャリアと独立後の国軍

ゼルボは、かつての宗主国であったフランス軍に加わり、サン・シール陸軍士官学校で軍事教育を受けました。第一次インドシナ戦争やアルジェリア独立戦争といった、激しい戦場を経験しています。1960年にオートボルタが独立を果たすと、ゼルボは新しく設立された国軍に参加し、そのキャリアを積んでいきました。

クーデターによる政権掌握

1974年から1976年にかけて、ゼルボはサンゴール・ラミザナ軍事政権下で外相を務めました。そして1980年11月25日、ゼルボ大佐は無血クーデターを実行し、当時のラミザナ政権を打倒。「国家再建軍事委員会（CMRPN）」を組織し、その議長として、さらに国家元首、首相の座を兼務し、国政における全権を掌握しました。

強権政治と労組の抵抗

ゼルボ政権は、その短い期間において、強権的な政治手法を採りました。政党の活動を抑圧し、労働組合によるストライキを禁止するなど、国民の自由を制限する政策を実行しました。これに対し、労働組合側は1982年4月にゼネラル・ストライキを敢行し、政権に抵抗。しかし、このストライキは経済の混乱に拍車をかける結果となりました。

クーデターによる失脚と逮捕

1982年11月7日、ジャン＝バプティスト・ウエドラオゴ少佐率いる下士官グループがクーデターを起こし、ゼルボ政権は崩壊。ゼルボ自身を含むCMRPNのメンバーは逮捕されました。このクーデターの背景には、軍内部の派閥争いや経済の低迷があったとされています。ゼルボは失脚し、政権の座から引きずり降ろされることとなりました。

その後

1984年、トーマス・サンカラ政権下で、ゼルボは政治腐敗などの罪で起訴され、翌年まで投獄されました。しかし、サンカラを打倒したブレーズ・コンパオレ政権下では、重用されるという複雑な経緯をたどっています。

セイェ・ゼルボは、ブルキナファソの激動の時代を象徴する人物の一人と言えるでしょう。軍人として、政治家として、彼は祖国の歴史に大きな足跡を残しました。

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