セイモア・ダンカン

セイモア・ダンカン：ギターピックアップの先駆者

セイモア・ダンカン（Seymour Duncan）は、ギター用ピックアップのメーカーとして知られ、1978年にカリフォルニア州サンタバーバラにて創業しました。創業者であるセイモア・W・ダンカンの名前を冠したこのブランドは、ビル・ローレンスやディマジオと並び、リプレイスメント・ピックアップメーカーの先駆けとされています。

1. アウトライン：創業前の背景

セイモア・ダンカンは、かつてフェンダーのサービスセンターに勤務しており、個人でピックアップの製作や改造、修理を行っていました。彼の名が知られるようになったのは、ジェフ・ベックが自身のアルバム『ブロウ・バイ・ブロウ』で使用した「テレギブ」の改造によるもので、彼が搭載したハムバッキングは、希少なギブソン社製PAFピックアップのリワイヤリングによるものでした。この成功は、後の代表的製品「JB Model」への道を開いたとされています。

2. 創業と初期製品

創業したダンカン社の初製品は、テレキャスター用のブラス製ブリッジユニットでした。その後、1980年代半ばから自己ブランドの製作販売を立ち上げ、日本国内での輸入代理店優美音響に製造を委託しました。1990年代にはその代理店が倒産し、製作販売の委託先をESPに変更しました。このように、セイモア・ダンカンは国内市場での存在感を高めつつも、世界的に支持されるピックアップブランドへと成長を遂げました。

3. 幅広い製品ラインナップ

セイモア・ダンカンは、特定の音楽ジャンルに偏ることなく、様々なニーズに応じた製品を開発してきました。代表的な製品には、SH-4 JB Modelをはじめ、1958〜60年に搭載されたレスポール用のSH-1 The’59 Modelや、エドワード・ヴァン・ヘイレン用のEvenly Voiced Harmonics、ダイムバッグ・ダレルのために開発されたSH-13 Dimebuckerなどがあります。また、シングルコイルサイズのハムバッキングピックアップSHR-1 Hot Railsや、ヴィンテージサウンドを再現したANTIQUITYシリーズなども目立つ製品です。

特筆すべきはジャズマスターやジャガー、ダンエレクトロなど、一般にはあまり手が加えられないモデルに向けたピックアップも開発しており、ユーザーの声に敏感に応えています。さらに、ミュージシャンの意見を反映した製品開発も特徴的で、多くの有名アーティストと製品開発や提供に関する契約を結んでいます。

4. カスタムショップと最新技術

セイモア・ダンカン社は米国と日本にカスタムショップを展開しており、ユーザーは自分だけのオリジナルピックアップをオーダー可能です。このように作られた製品がその後製品化されることもあり、ジョージ・リンチモデル「スクリーミン・デーモン」もその一例です。また、近年ではエフェクター開発やアクティブ・ピックアップ、7弦ギター用ピックアップの製造にも力を入れており、今後の進展が期待されます。

5. 主要ミュージシャン

セイモア・ダンカンの製品を愛用するミュージシャンには、イングヴェイ・マルムスティーンやスラッシュ、デイヴ・ムステイン、ジェフ・ベックなどが名を連ねています。彼らの演奏に使われることで、ダンカン製ピックアップの信頼性と性能が証明されています。

セイモア・ダンカンは、ギター愛好家やプロのミュージシャンにとって欠かせない存在であり、その革新性と市場対応能力は今後も注目されることでしょう。

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