セインツの海戦

セインツの海戦

セインツの海戦は、アメリカ独立戦争中の1782年4月9日から12日にかけて、西インド諸島のドミニカ近くで行われた重要な海戦です。この戦いでは、イギリス海軍のジョージ・ロドニー卿が指揮する艦隊が、フランス海軍のフランソワ・ド・グラス伯爵の艦隊に対して決定的な勝利を収めました。戦闘の結果、フランス艦隊の旗艦である「ヴィル・ド・パリ」を含む5隻の艦船が捕獲されました。

戦争の背景

この戦闘は、ウィンドワード諸島に位置するレ・サント諸島に因んで名付けられました。戦闘の開始時、フランス艦隊は前年にヨークタウンにおいてイギリス軍を封じ込めた艦隊でもあり、その再建が期待されていました。しかし、セインツの海戦の敗北により、フランスの海軍の戦略は大きな打撃を受けました。

戦闘の経緯

1782年4月7日、ド・グラスは33隻の戦列艦とフリゲート艦を伴い、マルティニーク島から出航しました。この艦隊は、スペインの艦隊と合流し、ジャマイカの占領に向かう計画でした。これに対してロドニーは、自艦隊を動かしてフランス艦隊を追跡します。

4月9日、フランス艦隊は輸送船団を護衛しつつグアドループ諸島に向かいますが、この間にイギリスの前衛部隊と接触する前哨戦が発生しました。決まり手はつかず、フランス艦隊に若干の損傷を与えつつも、その日は終わりました。

4月12日、フランス艦隊は、追跡してきた4隻のイギリス艦に押し込まれる形となりました。ここで風向きが変わり、ロドニーの旗艦「フォーミダブル」がフランス艦隊の戦列に突入。結果的に、フランス艦隊は混乱し、主力艦が大きな損害を受けます。最終的にはド・グラスが降伏し、艦隊はほぼ完全に逃げ去ることになりました。

戦いの結果と影響

この戦闘の結果、フランスとスペインはジャマイカの占領を目指していましたが、それを実現することは不可能になりました。一方で、イギリスはヨークタウンでの敗北を挽回し、ロドニーもこの勝利によって貴族に列せられることになり、年金を受け取る権利を得ました。しかし、この戦闘は最終的にアメリカ独立戦争全体への影響は少なかったと言えます。

議論を呼んだ戦闘

この戦闘は、その後にいくつかの論争を生むことになります。ロドニーの指揮が怠慢であったという批判があり、追跡を続けていればさらに多くのフランス艦を捕獲できたという意見もありました。さらに、この戦闘で用いられた「戦列突破」という戦術は、以降の海戦の手法に大きな影響を与えることになります。ド・グラスも敗北後、部下にその責任を問い質す場面があり、艦隊の士気にも影響を与えました。

このセインツの海戦は、フランスとイギリスの海戦史における重要な一ページであり、その戦術や戦闘の経過は多くの戦略家に研究されています。

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