セイヴド

『セイヴド』（Saved）は、ボブ・ディランが1980年に発表した20枚目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは、ディランがボーン・アゲイン・クリスチャンに改宗した後の信仰心が色濃く反映されたゴスペル作品であり、前作『スロー・トレイン・カミング』（1979年）での試みをさらに深化させた内容となっています。

アルバムの背景と特徴

ディランは、このアルバムで自身の信仰をストレートに表現し、ゴスペルの要素を強く取り入れました。これにより、従来のフォークやロックのファンだけでなく、ゴスペルファンにも注目されることとなりました。ビルボード200チャートでは最高24位、全英アルバム・チャートでは3位を記録し、商業的にも一定の成功を収めました。

レコーディング

レコーディングは、前作同様にアラバマ州シェフィールドのマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオで、1980年2月11日から15日にかけて行われました。プロデューサーには、ジェリー・ウェクスラーとバリー・バケットが再び起用され、前作からの流れを継承しつつ、よりゴスペル色の強いサウンドを作り上げました。

カバー・アート

アルバムのジャケット・カバーには、当初トニー・ライトによる「神の手」が描かれていました。しかし、リリース直後にディラン自身がジャケットの差し替えを要求したというエピソードがあります。これは、アルバムの売り上げがディランのオリジナル・アルバムの中ではファースト・アルバム以来の低迷であったため、プロモーション強化を意図した行動だったとされています。その後、CD化の際にはジャケットが裏表逆にされるという変更も行われました。

また、インナースリーヴには旧約聖書『エレミヤ書』31章31節の一文が記載されており、アルバム全体のテーマを象徴しています。

収録曲

Side 1

1. ア・サティスファイド・マインド - A Satisfied Mind – 1:57
作詞・作曲: Red Hayes/Jack Rhodes
2. セイヴド - Saved – 4:00
作詞・作曲: Tim Drummond/ディラン
3. コヴィナント・ウーマン - Covenant Woman – 6:02
4. ホワット・キャン・アイ・ドゥ・フォー・ユー - What Can I Do for You? – 5:54
5. ソリッド・ロック - Solid Rock – 3:55

Side 2

1. プレッシング・オン - Pressing On – 5:11
2. イン・ザ・ガーデン - In the Garden – 5:58
3. セイヴィング・グレイス - Saving Grace – 5:01
4. アー・ユー・レディ - Are You Ready – 4:41

パーソネル

バリー・バケット（Barry Beckett） - プロデューサー
キャロリン・デニス（Carolyn Dennis） - ボーカル
ティム・ドラモンド（Tim Drummond） - ベース
ボブ・ディラン - ギター、ハーモニカ、キーボード、ボーカル
Gregg Hamm - エンジニア
Bobby Hata - マスタリング
レジナ・ヘイヴィス - ボーカル
ジム・ケルトナー - ドラムス
クライディ・キング（Clydie King） - ボーカル
Mary Beth McLemore - アシスタント･エンジニア
Spooner Oldham - キーボード
Arthur Rosato - フォトグラフィ
Fred Tackett - ギター
ジェリー・ウェクスラー（Jerry Wexler） - プロデューサー
Paul Wexler - マスタリング・スーパーバイザー
トニー・ライト（Tony Wright） - アートワーク
Monalisa Young - ボーカル
Terry Young - キーボード、ボーカル

リリース

このアルバムは、日本でもリリースされ、多くのファンに聴かれました。

関連項目

* ボブ・ディランの作品

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