セザール・ド・ブルボン (ヴァンドーム公)

セザール・ド・ブルボン＝ヴァンドームは、1594年6月3日にフランス王アンリ4世と愛妾ガブリエル・デストレの間に生まれました。彼はアンリ4世の庶子として認知され、1598年にヴァンドーム公の称号を授与されました。翌年には母ガブリエルが急逝し、ボーフォール公とエタンプ公の地位も受け継ぎました。

1608年、セザールは富裕なメルクール及びパンティエーヴル公爵家の相続人フランソワーズと結婚し、3人の子供をもうけました。長男ルイは後にヴァンドーム公を、次男フランソワはボーフォール公を、そして娘エリザベートはヌムール公シャルル・アメデと結婚しました。

セザールの人生は、父の正妻であるマリー・ド・メディシスとその息子ルイ13世との間で繰り広げられる政争に深く関わっていました。彼はリシュリュー失脚を狙った陰謀に加担したとされ、1626年には実弟のアレクサンドルと共にヴァンセンヌ城に幽閉されることとなります。4年後に釈放されるも、オランダへ亡命せざるを得ませんでした。

1632年にフランスへ帰国後、セザールは次男フランソワと共にリシュリューの後を継いだジュール・マザランに対する陰謀を企てました。しかし、再び亡命を余儀なくされ、イングランドに逃亡。1642年まで同地に留まりました。その後、長男ルイとマザランの姪ロール・マンチーニとの結婚を機に、マザランとの和解が成立しました。

フロンドの乱においては王太后アンヌ・ドートリッシュを支持し、1651年には提督に任命されました。セザールは1665年にその生涯を終え、ヴァンドーム公位は長男ルイへ、ボーフォール公位は次男フランソワへと引き継がれました。セザールがかつて所有していた屋敷は後に買収され、パリの象徴的な広場であるヴァンドーム広場として整備されました。彼の生涯は、フランス王室と貴族社会の複雑な権力闘争を色濃く反映しています。

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