セスジスズメ

セスジスズメ（背筋雀）

セスジスズメ（Theretra oldenlandiae）は、鱗翅目スズメガ科に属する比較的大型のガの一種です。鮮やかな模様が特徴的で、日本を含む広い地域に生息しています。

特徴

成虫

成虫は、スズメガ類に共通するハンググライダーのような独特の翼の形をしています。開張は50～80mmで、前翅には暗褐色と黄白色の明瞭な帯模様があります。この模様が、セスジスズメの美しさを際立たせています。

胸部の背面には、黄白色の筋が縦に走っており、これが名前の由来となっています。腹部の背面には、暗褐色の細い筋が2本並行して走っています。これらの模様は、他のスズメガ類と区別する上で重要な特徴となります。

幼虫

幼虫は、体長が80～85mm程度まで成長するイモムシ型です。体色は通常黒色で、体側にはオレンジ色の眼状紋が並んでいます。これらの眼状紋は、捕食者に対する威嚇の効果があると考えられています。

尾部には白い尾角があり、歩行時には特徴的な動きを見せます。体を前後に振りながら移動する様子は観察者を惹きつけます。稀に、体色が緑色の幼虫も見られます。

生活史

食性

幼虫は、ヤブガラシ、ノブドウ、ホウセンカ、コンニャク、サトイモ、サツマイモなど、非常に多様な植物の葉を食べます。この幅広い食性が、セスジスズメが様々な環境に適応できる要因の一つとなっています。農業分野では害虫として扱われることもありますが、農薬には比較的弱いため、大きな脅威とは見なされていません。

越冬と発生

セスジスズメは蛹の状態で越冬します。成虫は、5月から10月にかけて出現し、年に2回発生するとされています。夏の夜に庭先などで見かけることもあります。

分布

セスジスズメは、北海道から南西諸島まで、ほぼ日本全土に生息しています。国外では、マレー、インド、ニューギニアなどに分布しているとされています。温暖な地域を好む傾向があります。

近縁種

コスズメ

成虫は全体的に模様が不明瞭で、特に腹部背面の細い縦筋が目立ちません。セスジスズメと比較すると、地味な印象を受けます。

イッポンセスジスズメ

成虫において腹部背面の黄白色筋が分離されず、一本の線に見えます。この点が、セスジスズメとの大きな違いです。

キイロスズメ

成虫において腹部背面に広い緑色帯が生じます。色彩が鮮やかで、セスジスズメとは異なる美しさを持っています。

関連項目

スズメガ
ホウセンカ

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