セダ・バラ

セダ・バラ：ハリウッドの初期のアイコン

セダ・バラ（Theda Bara）は、1885年7月29日にアメリカのオハイオ州シンシナティで生まれました。本名はテオドシア・バーブ・グッドマン（Theodosia Burr Goodman）で、彼女はサイレント映画時代における女優として知られています。特に、彼女は「ヴァンプ」と呼ばれる魅惑的な女性の役柄で有名であり、「Vamp」は「Vampire」の略語として、男性を誘惑して食い尽くす女性を指します。

セダ・バラの家庭背景はユニークで、父親はポーランド出身のユダヤ人、母親はスイス出身のユダヤ人でした。彼女は当時の女性としては珍しく、シンシナティ大学で学びました。その後、俳優を目指してニューヨークに移住した彼女は、1908年に舞台『The Devil』でブロードウェイデビューを果たしました。

バラは、映画界に足を踏み入れる際に、FOXスタジオに起用されました。彼女の芸名「Theda Bara」は、様々な説がありますが、一般的にはアラビア語の「死」を意味する「Arab Death」のアナグラムとされています。バラの出自についてスタジオが作り上げた神秘的な物語も話題となりました。彼女は、ピラミッドのふもとで生まれ、フランス人の芸術家とエジプト人の愛人を両親に持ち、超自然的な力を持つ巫女とされていました。

バラは1914年に映画デビューを果たしますが、最初はエキストラでした。しかし、1915年の『愚者ありき（A Fool There Was）』で彼女は一躍スターとなり、挑発的でセクシーな役柄を演じ続けました。特に透けた衣装や大胆な演技は、多くの男性を魅了し、スタジオFOXの成功に大いに貢献しました。バラの映画は、自身の時代の女性像にも影響を与え、その後の映画産業におけるセックスシンボル像を確立しました。

彼女は1914年から1926年の間に40本以上の映画に出演しましたが、1937年の火災で多くの作品が現存していないため、現在ではわずか5本のフィルムが残っています。これには、『愚者ありき』や『イースト・リン邸（East Lynne）』などが含まれます。

セダ・バラは、映画制作の活動を終えた後、1926年に結婚した映画監督チャールズ・ブレイビンとの生活に専念しました。彼女はハリウッドに特に未練がなかったため、復帰することはありませんでした。バラは料理が得意で、自宅は映画界の著名人たちが集まる社交の場でもありました。彼女は気さくで読書や美術館巡りを楽しむ一面もあり、私生活では穏やかな女性として知られていました。

1955年4月7日、ロサンゼルスで胃癌によって亡くなったセダ・バラは、今日でもその艶かしい魅力で多くの人々に影響を与え続けています。彼女の名前は今もなお、ポピュラー音楽や映画の中で言及されることが多く、その存在は時代を超えて色あせることはありません。

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