セッシュ

セッシュするとは？

『セッシュする』または『セッシュウする』は、映画やテレビドラマの撮影において、俳優同士の身長差を調整するための特別な用語であり、特に2ショットや顔のアップのシーンでの使用が一般的です。この技術は、背の低い俳優を踏み台に立たせることで構図のバランスを整えることを目的としています。

由来と歴史

この手法は古くから存在しましたが、特にハリウッドでこの呼称が使われ始めたのは、1920年代頃から遡ります。ハリウッドの著名な日本人俳優、早川雪洲（Sessue Hayakawa）の名が由来であり、1958年には映画「戦場にかける橋」にて日本人初のアカデミー賞ノミネートを果たしました。早川は身長172 cmと、当時のアメリカ人俳優たちに比べて身長が低かったため、彼が圧倒的な二枚目役を演じるためには、撮影上での工夫が必要でした。

「セッシュウが低いから彼を踏み台に立たせてくれ」という指示が次第に短縮され、最終的には単に『セッシュウする』という表現が普及しました。しかし、この言葉が使われた背景には、日本人に対する「身長が低い」という先入観による偏見も含まれていることを認識する必要があります。実際、これは早川一人の創意工夫ではなく、ハリウッド全体で行われていた手法です。

用法と範囲

狭義には、俳優を踏み台にのせて身長をかさ上げする行為が指すことが多いですが、広義には「被写体の高さをかさ上げする」という意味合いも含まれます。したがって、俳優だけでなく、たとえば「手前の花瓶をセッシュウして」といった具合に、物体に対しても使われることがあります。

この言葉は本来、早川の名を冠した『セッシュウ』または『セッシュー』が正しい表現ですが、実際には『セッシュ』という短縮形が多く使われています。また、その台となるものは『セッシュウ台』や『箱馬（ハコウマ）』と呼ばれることもあります。

まとめ

『セッシュする』という用語の背後には、早川雪洲という日本人俳優の影響と、異なる文化における身長のイメージが組み合わさっています。映画やテレビドラマの制作現場では、俳優の身長差を自然に見せるためのこれらの手法が今もなお使われています。映画業界におけるこのような技術の歴史を知ることで、視聴者はより深く映画を楽しむことができるでしょう。

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