セッピコテンナンショウ

セッピコテンナンショウ（Arisaema seppikoense）

概要

セッピコテンナンショウは、サトイモ科のテンナンショウ属に属する多年草です。この植物は、日本の兵庫県の雪彦山付近にのみ分布し、その生育環境が限られているため、希少性が高いとされています。主に山地の斜面や湿った岩場で育ち、独特の形状の花序を持っています。

特徴

この植物は地上高が20～50cm程で、偽茎部が短く、長い葉柄を持つのが特長です。通常、葉は1枚または2枚伸び、羽状に分裂した小葉が5～9個付いています。葉の具合では、先端が細くなる形状を持ち、時折葉の中脈には白い模様が見られます。

花期は5月から6月で、雄花と雌花を持つ雌雄偽異株のため、性転換が可能です。雄株から雌株への転換が特徴で、花序は葉身の高さにかかるような位置に直立して現れます。また、仏炎苞は紫褐色で、しばしば白い条線が見られ、時には黄緑色のものもあります。花序の付属体は細棒状で、先端が円頭に膨らむ形になっています。果実は夏に赤く成熟します。

分布と生育環境

セッピコテンナンショウは、日本の固有種であり、その生育地は本州の兵庫県に限定されています。特に雪彦山周辺の湿った岩場や森林の下層に生息しています。この限られた生息地域と特異な生育環境が、この植物をより希少なものとしています。

名前の由来

和名の「セッピコテンナンショウ」は、北村四郎氏によって名付けられ、雪彦山の特定のサンプルに基づいています。北村氏はこの種を研究する際に、斬新な発見を行ったことで知られています。生物学的な名称は、彼による命名を反映したものです。

種の保全状況

セッピコテンナンショウは、環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類(CR)に指定されており、特に保護が求められています。兵庫県においては、Aランクに指定され、国の法律に則って採取や損傷が禁止されています。この植物は特定の国内希少野生動植物種としても指定されており、商業的な繁殖には規制があります。

分類

さらに、紀伊半島の他の種、例えばホロテンナンショウ（Arisaema cucullatum）と類似している点がありますが、仏炎苞の形状や染色体数により明確な差異が認められます。これにより、植物学的には異種と見なされています。

参考文献

• - 北村四郎 他著『原色日本植物図鑑・草本編III』
• - 加藤雅啓他著『日本の固有植物』
• - 大橋広好他編『改訂新版 日本の野生植物 1』
• - 牧野富太郎原著『新分類 牧野日本植物図鑑』
• - 日本のレッドデータ検索システム

このように、セッピコテンナンショウは日本の貴重な自然の一部であり、その生態や特性を理解することが、今後の保護活動にとって重要です。

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