セテ・ジベルナウ

マヌエル・セテ・ジベルナウ：MotoGPレジェンドの軌跡

マヌエル・セテ・ジベルナウ・ブルトー。1972年12月15日、スペイン・バルセロナ生まれのこのオートバイレーサーの名は、MotoGPの歴史に深く刻まれています。有名なブルタコ社の創業者を祖父に持つ彼は、華麗なる走りと数々のドラマチックなレースで、世界中のモータースポーツファンを魅了しました。

華々しいデビューから世界選手権へ

ジベルナウは1992年からロードレース世界選手権250ccクラスにスポット参戦を開始。その後、1996年にはフル参戦を果たし、1997年には500ccクラスへとステップアップしました。レプソル・ホンダワークスチームへの加入を経て、2001年、スズキに移籍すると、バレンシアGPで念願のWGP初優勝を飾ります。

加藤大治郎との絆、そしてロッシとの激闘

2003年、ジベルナウはホンダのサテライトチーム、テレフォニカ・モビスター・ホンダに移籍。チームメイトとなったのは、日本の英雄・加藤大治郎でした。開幕戦での加藤の悲劇的な事故死という衝撃的な出来事の後、ジベルナウは南アフリカGPでポール・トゥ・ウィンを達成。その勝利を加藤に捧げ、チームの悲しみを乗り越える力となりました。

この年、ジベルナウはファクトリースペックのマシンを得て、フランスGPとドイツGPでは、最終ラップ最終コーナーでロッシを抜き去るという劇的な勝利を収め、シーズン4勝、ランキング2位という素晴らしい成績を残しました。

続く2004年も、ヤマハに移籍したロッシ、そしてビアッジとのチャンピオン争いは激化します。ジベルナウは序盤でリードを奪うも、中盤の転倒リタイアが響き、ロッシに逆転を許します。カタールGPでの勝利で差を詰めたものの、ロッシとの確執、そしてマスコミによるメンタル的なプレッシャーに苦しみます。この年も4勝を挙げたものの、ロッシに敗れランキング2位となりました。

ロッシとの因縁とキャリアの終焉

2005年もロッシとの激しい戦いは続きました。スペインGPでは最終ラップまで優勝を争ったものの、ロッシとの接触により2位に終わります。ドイツGPでも勝利目前でミスを犯し、シーズンを通して精彩を欠き、ランキング7位と低迷しました。

2006年、ドゥカティに移籍したジベルナウでしたが、カタルーニャGPでのクラッシュによる鎖骨骨折など、度重なる怪我に苦しみ、同年、現役引退を表明します。

しかし、彼のモータースポーツ人生はここで終わりませんでした。2009年にはMotoGPに復帰を果たしたものの、チームの撤退によりわずか6戦で再びシリーズから離脱することになります。2018年にはMotoE World Cupに参戦、2019年に復帰を果たし、現役生活に幕を閉じました。

ゼッケン15と加藤大治郎への敬意

ジベルナウが好んで使用したゼッケン15には、2001年の初優勝以降、特別な思い入れがありました。また、2003年、チームメイトであった加藤大治郎への敬意から、彼のゼッケン74も革ツナギに縫い付けていたことも知られています。

2004年のカタールGPでのロッシとの確執は、モータースポーツ史に残るエピソードの一つです。ロッシのペナルティを巡る出来事と、その後ロッシから発せられた「呪い」のような言葉は、ジベルナウのキャリア後半に影を落としました。

輝ける功績とレジェンドとしての地位

幾多の苦難を経験しながらも、ジベルナウはMotoGPで素晴らしい成績を残しました。彼のライディング技術、そして常にトップを争うための強い意志は、多くのファンに感動を与えました。ロッシとのライバル関係、加藤大治郎との絆、そして幾多のドラマは、セテ・ジベルナウというレーサーを伝説的な存在へと押し上げました。彼の名前は、これからもMotoGPの歴史に語り継がれていくでしょう。

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