セヌリ党

セヌリ党：韓国保守勢力の変遷を語る

セヌリ党は、韓国現代史において重要な役割を果たした保守系政党です。その歴史と政治的影響、特に2017年の党名変更前後における動向を詳しく見ていきましょう。

「新しい世界」を目指した変革期：ハンナラ党からセヌリ党へ

セヌリ党の起源は、韓国を代表する保守政党であったハンナラ党に遡ります。2012年、ハンナラ党は党名を「セヌリ党」に変更しました。「セヌリ(새누리)」は韓国語で「新しい世界」を意味し、この改名は、時代に合わせて党のイメージを一新し、国民に新たな未来を提示しようとする意図を反映していたと考えられます。しかし、この改名によって党の支持基盤が大きく変化したわけではありませんでした。保守的な政治姿勢は維持され、党勢は依然として強さを保ちました。

朴槿恵政権とセヌリ党：栄光と挫折

セヌリ党は、2012年の大統領選挙で朴槿恵候補を勝利に導きました。朴槿恵政権下では、セヌリ党は与党として政策決定の中枢を担い、韓国社会の様々な課題に取組みました。しかし、その政権運営は、経済政策や社会政策をめぐる様々な批判に晒されることとなり、支持率の低下を招きました。

弾劾危機と党の分裂：自由韓国党への転換

朴槿恵大統領に対する弾劾裁判は、セヌリ党に大きな打撃を与えました。党内は弾劾賛成派と反対派に分裂し、激しい内紛を繰り広げました。最終的に朴槿恵大統領は弾劾され、セヌリ党は深刻な分裂状態に陥りました。この事態を受け、2017年2月、セヌリ党は「自由韓国党」に改称し、新たなスタートを切ろうとしました。しかし、党内の亀裂は容易に修復されるわけではなく、保守勢力はその後も分裂と再編を繰り返すことになります。

セヌリ党(2017-)：保守勢力の再編

2017年、朴槿恵大統領の弾劾に反対する運動を行ってきた保守系団体が、新たな「セヌリ党」を結成しました。これは、自由韓国党とは別の政党であり、朴槿恵前大統領への支持を明確に表明するなど、保守政治勢力の再編を象徴する動きとして注目されました。この新しいセヌリ党は、朴槿恵政権を支持する保守層の受け皿となり、保守政治勢力の一翼を担う存在となりました。しかし、その後も韓国の保守勢力は、様々な派閥に分裂し、その勢力図は流動的なままでした。

結論：セヌリ党と韓国保守政治

セヌリ党の歴史は、韓国保守政治の変遷をそのまま映し出す鏡と言えるでしょう。党名変更や分裂、再編といった出来事は、韓国社会における保守勢力の複雑な力学関係、そして政党政治のダイナミズムを如実に示しています。セヌリ党の歴史を紐解くことは、現代韓国政治を理解するための重要な鍵となるでしょう。特に、朴槿恵政権とその後の保守勢力の動向を分析する上では、セヌリ党の役割は無視できません。この政党の変遷を通して、韓国政治における保守派の課題や未来像を探ることは、今後の韓国政治の行方を予測する上で極めて重要な要素と言えるでしょう。

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