セビリアのラビット理髪師

『セビリアのラビット理髪師』は、ワーナー・ブラザースが1950年12月16日に公開した『ルーニー・テューンズ』シリーズの短編アニメーション作品です。名作選集『The 50 Greatest Cartoons』にも選ばれており、その高い評価がうかがえます。

監督はチャック・ジョーンズ、脚本はマイケル・マルチーズという、ルーニー・テューンズを代表するスタッフが制作に携わっています。お馴染みのバッグス・バニーとエルマー・ファッドが、コミカルなやり取りを繰り広げる本作は、世代を超えて愛される作品となっています。

物語の舞台は、セビリアの円形劇場。観客たちは、いよいよ始まる演目を今か今かと待ちわびています。しかし、突如として劇場の遠くから銃声が響き渡ります。それは、ハンターのエルマー・ファッドが、お目当てのウサギ、バッグス・バニーを追いかけている最中の出来事でした。

間一髪、劇場に逃げ込んだバッグス。エルマーが追いかけてくる隙を突いて、バッグスは舞台に上がります。そこで、バッグスはなんと美容師に変身。エルマーを相手に、理髪を装って様々なドタバタ劇を繰り広げます。状況は思わぬ方向へと転がり、最後はエルマーとバッグスのまさかの結婚という展開に発展。そして、クライマックスでは、バッグスがエルマーを「フィガロの結婚」と書かれたウェディングケーキに突き落とすという、衝撃的な結末を迎えます。

本作の舞台であるセビリアの理髪師の看板には、3つの名前が記されています。これらは、ワーナー・ブラザースのスタッフの名前をイタリア語風にアレンジしたものであることが、興味深いポイントです。

また、『バッグス・バニー・ショー』という番組では、冒頭のオペラシーンからバッグスが劇場に入るまでの部分がカットされ、代わりにエルマーが劇場の隣にある看板を見ているシーンが挿入されています。これは、放送時間に合わせて編集された結果と考えられます。

『セビリアの理髪師』は、現在でも様々な映像ソフトで鑑賞することができます。『ルーニー・テューンズ・コレクション バッグス・バニー特別版』など、多くの作品に収録されており、手軽に名作を楽しむことが可能です。

チャック・ジョーンズ監督独特の演出と、バッグス・バニーの機転の利いた行動、そしてエルマー・ファッドのドジっぷりが絶妙に絡み合う『セビリアの理髪師』。この作品は、何度観ても笑える、まさにルーニー・テューンズを代表する傑作と言えるでしょう。そのユーモラスな展開と、予想だにしないラストシーンは、きっとあなたを魅了するはずです。

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