セブンズフェスティバル

セブンズフェスティバル（Sevens Festival）は、日本のラグビーにおける7人制ラグビーの競技力向上と普及を目的として、2010年から2012年の3年間にわたり開催された主要な国内大会です。会場は、日本のラグビー界における象徴的なスタジアムの一つである秩父宮ラグビー場（東京都港区）でした。この大会は、2009年に国際オリンピック委員会（IOC）が2016年のリオデジャネイロオリンピックから7人制ラグビーを正式競技として追加することを決定したことを背景に創設されました。

オリンピック種目化は、日本ラグビー界にとって7人制ラグビーを強化・発展させる絶好の機会となりました。セブンズフェスティバルは、この流れの中で、国内の有力選手たちが集まり、ハイレベルな試合を経験する場として企画されました。また、多くのファンに7人制ラグビーというスピーディで展開の速い魅力的な競技を知ってもらうための機会でもありました。大会では、男子と女子の両カテゴリーで競技が実施されました。

大会の形式と参加チーム

セブンズフェスティバルには、日本のトップレベルのチームが参加しました。

男子大会には、当時日本のラグビーリーグの最高峰であったジャパンラグビートップリーグに所属するチームや、7人制ラグビー日本代表候補選手を中心に編成されたチームなどが出場しました。標準的な大会形式として、最初に複数のグループに分かれて予選リーグ（プール戦）を行い、その後、予選の結果に基づいて決勝トーナメントに進出し、優勝チームを決定する方式が採用されました。この形式は、国際的な7人制ラグビー大会でよく見られるものであり、選手たちは実践的な経験を積むことができました。

女子大会には、国内で活動する有力なクラブチームや、女子7人制ラグビー日本代表候補チームなどが参加しました。女子の参加チーム数は男子に比べて少なかったため、原則として全チームが互いに対戦する「総当たり戦」形式で競技が行われました。総当たり戦の成績に基づき最終順位が決定され、優勝チームが決定されました。

2012年大会の特別な形式

大会が最終年を迎えた2012年には、これまでの形式から一部変更が見られました。男子大会では、参加12チームによる「勝ち抜き戦」というユニークな方式が採用されました。これは、一般的なラグビー大会では珍しい形式であり、大会に新たな側面をもたらしました。女子大会も、3チームによる総当たり戦として開催されました。

また、2012年の大会では、男女ともに7人制ラグビーの日本代表チームは参加しませんでした。これは、当時の代表チームが国際大会への遠征や強化合宿などを優先していたためと考えられます。代表チーム不在の中でも、国内のクラブチームやトップリーグ所属チームが力を尽くし、質の高い試合が繰り広げられました。

大会の意義と後継大会

セブンズフェスティバルが開催された3年間は、2016年のリオデジャネイロオリンピックを目標に、日本の7人制ラグビーが本格的な強化体制へと移行していく重要な時期と重なります。本大会は、国内の選手たちに実戦の機会を提供し、競技レベルの底上げに貢献しました。また、秩父宮ラグビー場という舞台での開催は、多くのラグビーファンや一般の人々に7人制ラグビーの魅力を伝える上で大きな役割を果たしました。

セブンズフェスティバルは2012年限りでその幕を閉じましたが、その翌年である2013年からは、同じ時期に「ジャパンセブンズ」という名称の新たな国内7人制ラグビー大会がスタートしました。ジャパンセブンズは、セブンズフェスティバルの精神を引き継ぎ、現在も日本の7人制ラグビーカレンダーにおける重要なイベントの一つとして位置づけられています。セブンズフェスティバルは、日本の7人制ラグビーが国際舞台、特にオリンピックという目標に向かって踏み出す上で、貴重な経験と基盤を提供した大会だったと言えるでしょう。

もう一度検索