セブン・ペイ

株式会社セブン・ペイについて

株式会社セブン・ペイ（Seven Pay Co., Ltd.）は、セブン＆アイ・ホールディングスグループに属し、スマートフォン向けの決済サービス「7pay」を運営していました。このサービスは、コンビニエンスストア「セブン-イレブン」の公式アプリで利用できるものでした。しかし、2019年7月に発生した不正利用事件により、わずか数日でサービスが停止され、事業は同年9月に終了する運びとなりました。

沿革

セブン・ペイは2018年6月に設立され、2019年7月1日に「7pay」をサービス開始しました。開始からわずか1日後の7月2日には、ユーザーからの「身に覚えのない取引がある」との声が寄せられ、翌日には不正利用が確認されました。7月4日には新規会員登録が停止され、同時にチャージ機能も一時的に制限されました。これに対応する形で、金融庁からの指導もあり、セブン・ペイは7月30日に、全会員1650万人のパスワードを一斉にリセットすることを決定しました。

不正利用事件

2019年の不正利用事件は、7月3日に社内調査の結果として明らかになりました。クレジットカードやデビットカードからのチャージが一時停止され、新規登録が止まる中、7月12日には関与したアルバイト従業員が逮捕される事態に発展しました。最終的に、約808人のアカウントから3800万円以上の被害が確認され、セブン＆アイ・ホールディングスは全額補償する方針を示しました。

事件の背景には、7payのセキュリティ対策や認証システムの脆弱性が指摘されました。特に「7iD」と呼ばれる共通アカウントに対する認証が不十分であり、なりすましが可能でした。経済産業省からも不正利用防止ガイドラインの不備が指摘されるなど、企業としての危機管理体制が問われました。

今後の対応

この事件を受けて、セブン・ペイは8月にサービス廃止を決定し、9月30日に「7pay」の関連サービスを全て終了しました。その後、セブン・アイ・ホールディングスは、他のキャッシュレス決済手段の導入に向けた検討を進めていると発表しました。また、社内では新たな開発体制やセキュリティ向上に向けた取り組みも行われることとなりました。

サービス終了後の2020年1月には残高の払い戻しが行われましたが、その手続きに複雑さがあり、多くの利用者が払い戻しを受けるまでに時間がかかりました。最終的には約25万人が未払い残高のままとなり、企業としての信頼性回復には課題が残りました。

2020年8月には、PayPayとの提携を発表し、セブン-イレブンアプリへのキャッシュレス決済機能が再導入されることとなりました。このことにより、7payでのサービス中断後も、セブン-イレブンの顧客は新たな形でスムーズな決済が利用できるようになりました。

セブン・ペイのケースは、セキュリティの不備が企業活動にどれほど深刻な影響を及ぼすかを示す教訓であり、今後のキャッシュレス社会においても、セキュリティ対策の重要性が再認識される場面となりました。

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