セボルガ公国

セボルガ公国とは

セボルガ公国（Principato di Seborga）は、イタリア北西部のリグリア州に位置する自称独立国であり、人口約320人を有しています。公国の公式な標語は「Sub umbra sedi」（影の下に座る）で、国歌には「ラ・スペランツァ」が使用されています。セボルガは、音楽祭で知られるサンレーモから約7kmの位置にあり、モナコからは約24km、ジェノヴァからは118kmほど離れたところにあります。地中海に近く、ボルディゲーラからは北東へ約6kmの山間に位置し、標高517mの地点にあります。

歴史的背景

セボルガの歴史は中世にさかのぼります。この地域はかつてヴェンティミーリア伯の領地に属し、954年にはレリノ修道院に寄進されて独自の領域となりました。1079年には、レリノ修道院の院長が神聖ローマ帝国から公爵に叙せられ、セボルガは公爵領としての地位を持つこととなります。その後、11世紀から12世紀にかけてシトー会がこの地域を治めるようになりました。

1729年には、サルデーニャ王家のヴィットーリオ・アメデーオ2世によってセボルガが購入されましたが、1748年のアーヘンの和約により、セボルガはジェノヴァ共和国に譲渡されました。ナポレオン戦争後、1814年のウィーン会議を経て、セボルガはサルデーニャ王国の一部となり、1861年にはイタリア王国が成立しました。

セボルガの「独立」宣言

1960年代初頭、セボルガの住民は歴史的な公国としての独立を求める運動を展開しました。リーダーであるジョルジョ・カルボーネが1963年に住民によって選ばれ、セボルガは「独立」を宣言しました。カルボーネは「セボルガ公ジョルジョ1世」として即位し、その存在はマスコミや地元で広く知られることとなりました。彼は2009年に死去するまで公国の地位にありました。

その後、アルベルト・ロマーノが摂政として君主の地位を代行し、2010年にはマルチェッロ・メネガットが新たな元首として「マルチェッロ1世」を名乗り、公国の発展に向けたビジョンを掲げました。彼は観光業の振興や雇用の創出に注力しましたが、2019年には「自身及び家族の事情」により退位の意向を示しました。

セボルガの現状

セボルガはイタリア国内の一自治体として扱われており、イタリア政府との間には特に問題は生じていません。公国を主張する人々は、歴史的な公爵領の地位が現在も続いていると主張していますが、イタリア政府はセボルガをイタリア国内の一部として見なしています。実際、住民はイタリア共和国における政治的権利を行使し、税金を納めています。

観光業はセボルガの主要な産業の一つであり、イタリアや他国からの訪問客を引き寄せることで地域の振興を図っています。最近では公国の憲法も住民投票によって採択され、さらなる発展が期待されている状況です。セボルガ公国はその独自性と歴史的背景から、ユニークな存在として注目を集めています。

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