セミノール (柑橘類)

セミノール：フロリダ生まれの芳醇な柑橘

セミノールは、甘みと香りが際立つ柑橘類の一種です。そのルーツはアメリカ合衆国フロリダ州オーランドにある農務省試験場まで遡ります。1910年代、ダンカングレープフルーツとダンシータンゼリンという2種類の柑橘類を掛け合わせることで、この新たな品種が誕生しました。

日本へは1955年、農学博士である田中長三郎氏によってカリフォルニア大学を通じて導入されました。導入された種子から育てられた苗木は、三重県の篤志家、桂清吉氏の元にありました。桂氏は、その苗木の中から偶然にも枝変わりを発見し、その枝変わりを元に商品化に成功したのです。こうして、セミノールは日本の柑橘界に新たな風を吹き込みました。

セミノールという名前は、フロリダ州にある「セミノール湖」に由来しています。晩生のタンゼロ類に分類されるセミノールは、その栽培の容易さから、多くの生産者にとって魅力的な品種となっています。

果実は約150グラムと、食べやすいサイズです。濃いオレンジ色の果皮は滑らかで光沢があり、見るからに美味しそうです。その芳香は、他の柑橘類とは一線を画す、セミノール独特のものです。そして、何より特徴的なのは、その果汁の豊富さと酸味の少なさです。ジューシーで甘みと酸味のバランスがとれた味わいは、多くの人々を魅了しています。

収穫時期は3月下旬から4月上旬頃ですが、出荷は5月以降になります。これは、収穫直後の果実に含まれる酸が強いため、倉庫で熟成させ、酸味が穏やかになるのを待ってから出荷されるためです。

セミノールは、自家不和合性の柑橘類であるヒュウガナツの受粉樹としても利用されています。ヒュウガナツの栽培において重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

2010年の日本のセミノール収穫量は3,380.3トンに達しました。その生産量は、大分県が41％、和歌山県が33％、三重県が19％を占めており、これらの地域が日本のセミノール生産の中心地となっています。

このように、セミノールはフロリダ州で誕生し、日本において独自の進化を遂げた、歴史と魅力を兼ね備えた柑橘類です。その独特の風味と栽培の容易さから、今後も日本の柑橘生産において重要な役割を担っていくことでしょう。

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