枝変わり

枝変わり：植物の突然変異が生み出す新品種

枝変わり（えだがわり）とは、植物のある枝において、芽、葉、花、果実などが、成長点の突然変異によって、その植物が本来持っている遺伝形質とは異なる形質を示す現象を指します。動物では体細胞の突然変異が個体に反映されることは稀ですが、植物では成長点から新しい組織が形成されるため、変異した部分が固定化され、形質として現れることがあります。

枝変わりの種類と影響

野生植物で見つかった枝変わりは、珍しい変異として扱われます。この枝を挿し木などで繁殖させると、新しい品種となる可能性があります。園芸植物の場合、斑入りの葉が元の緑葉に戻ったり、八重咲きの花が一重咲きになるなど、親株よりも劣った形質を示すことが多いですが、稀に親株よりも優れた形質や、新品種として価値のある形質が現れることがあります。日本の伝統的な園芸植物である皐月には、枝変わりによって生まれた品種がいくつか存在します。

果樹における枝変わり

果樹の枝変わりは、新品種の発見や、同一品種内での系統選抜に利用されています。例えば、温州みかんでは多くの品種が枝変わりによって生まれています。

温州みかんの枝変わり品種の例

寿太郎温州 (元の品種：青島温州)
宮本早生、上野早生、盛田温州、させぼ温州、小原紅早生 (元の品種：宮川早生)
日南1号、岩崎早生、田口早生 (元の品種：興津早生)

カキの枝変わり品種の例

刀根早生 (元の品種：平核無柿)

このように、枝変わりは植物の多様性を生み出す重要な要素であり、農業や園芸において、新品種開発に貢献しています。

枝変わりは、植物の育種において重要な役割を果たしており、今後も様々な品種改良に活用されることが期待されます。注意点として、全ての枝変わりが優良な品種に繋がるわけではなく、中には栽培に適さないものや、品質が劣るものも存在します。そのため、枝変わりを発見した際には、慎重な観察と評価が必要です。

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