セミー・モズレー

セミー・モズレーの生涯とモズライトの軌跡

セミー・モズレー（Semie Moseley、1935年6月13日 - 1992年8月7日）は、アメリカのギター製造業界において重要な役割を果たした楽器職人であり、モズライトの創業者として知られています。彼はオクラホマ州デュラントに生まれ、その後カリフォルニア州ベーカーズフィールドに移り住みました。この地域には、オクラホマからの移住者たちが多く、彼の家族もその一つです。彼の母はドライクリーニング店で働き、父は鉄道会社で勤務していました。

モズレーは、13歳のときから教会のグループでギターを演奏し始め、彼と弟のアンディは、若い頃からギターに関する実験を行っていました。改造や新しいネックの製作を通じて、彼らのものづくりに対する情熱が育まれていきました。

1954年、セミーは自宅のガレージでトリプルネックのギターを製作しました。このギターは、通常のギターのネックに加え、1オクターブ高いもの、および8弦のマンドリンのネックが備わっていました。彼はこのダブルネック・ギターを有名なテレビ出演者に贈り、その後、1956年には兄弟で「モズライト・オブ・カリフォルニア」という会社を立ち上げることになります。これは、牧師からの資金を源にしたもので、当初は自宅の簡易な作業場で製造を開始しました。

当初のモズライトの製品はすべて手作りであり、兄弟の情熱が反映されています。1959年には、アンディがナッシュビルでモズライトのブランドを売り込むために移住し、カントリーミュージックの発信地でギターを販売しました。彼らは多くのアーティストに愛用され、世界中の演奏者にも受け入れられていきました。

モズライトはまた、音楽レコードの制作にも乗り出し、レコードレーベル「モズライト・レコード」を設立しました。このレーベルには、まだ若かったバーバラ・マンドレルなどのアーティストが契約し、モズライトの名前が広まりました。1968年にはピークを迎え、107人の従業員を擁して毎月1000本以上のギターを製造していました。

しかし、同年の後半にモズライトは破産に至ります。それからの2年間、セミーは奮闘し、最終的にブランドを取り戻すことに成功。1970年には新たにギターの製作を再開しました。彼の工場はオクラホマシティやノースカロライナ、アーカンソーへと移転し、モズライトの復活を果たしました。

しかし、残念ながらセミーは1992年に骨がんと診断され、同年8月に亡くなってしまいました。彼の遺志を受け継ぎ、娘のダナも楽器職人としてモズライト・ギターを製作し続けるとともに、ベーカーズフィールドで「モズライト・ジャム」というイベントを定期的に開催しています。

まとめ

セミー・モズレーの人生は、音楽とギター製作の情熱に満ちたものであり、彼が創り出したモズライトは、今も世界中のミュージシャンたちに影響を与えています。彼の業績は、単なる楽器製造という枠を超え、音楽文化における重要な一端を担っています。

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