モズライト

モズライト (Mosrite)

モズライトは、アメリカ・カリフォルニア州ベーカーズフィールドに拠点を置くギター工房として1950年代に誕生しました。創業者のセミー・モズレーは、リッケンバッカーでの経験をもとに、独自の楽器製造に乗り出しました。かつて彼が学んだ技術をつなぎ合わせ、トリプルネックやダブルネックなど、革新的なデザインのギターを生み出しました。特に1960年代にはベンチャーズモデルを通じて一躍有名になり、月に600本ものギターを生産するほどの成功を収めました。

創業の背景と成功の軌跡

セミー・モズレーは1952年頃からギター製作を始め、リッケンバッカーでの職務経験や他のルシアーたちから影響を受け、新しい技術を取り入れました。1954年には自宅ガレージでトリプルネックのギターを製作し、これが後のモズライトのブランド形成につながります。彼は1956年に「モズライト・オブ・カリフォルニア」として正式に企業を設立しました。その際、彼の名前とパートナーである投資家の名字を組み合わせた「モズライト」という名称が誕生しました。この会社は当初、すべてカスタムメイドで、手作りのギターを提供していました。

しかし、兄のアンディがテネシー州に移った後、市場での競争は厳しくなり、1968年に遂に倒産の憂き目に遭います。多くの顧客がこのユニークなギターの製品を愛しており、国内外で高い評価を得ていましたが、競業他社との契約問題や、セミー自身の事業運営に対する適応が難しかったことが影響しました。

日本での人気

モズライト製品は特異なデザインと高い音質から、多くの音楽家に愛用され、特に日本ではベンチャーズや加山雄三などの著名なアーティストの影響もあって大きなファンベースを持ちました。1968年には日本企業ファーストマン社とライセンス契約を結び、Avengerモデルが市場に登場しました。このモデルは、他のコピーモデルに対する「復讐」的な意味を持つ名称として注目を集めました。

ラモーンズのギタリストであるジョニー・ラモーンが1970年代後半に使用したことでも知られるモズライトは、パンクロックシーンにも参入し、若者たちの間で今なお支持されています。

事業のその後と再興

倒産後もセミー・モズレーはモズライトの商標を買い戻し、ギター製作を続けましたが、90年代に入ると彼の健康も悪化し、1992年に彼が死去したことにより事業は再び困難に直面します。セミーの妻ロレッタは、倒産後もモズライトギターの製造を試みましたが、事業は厳しい私的紛争に発展しました。その結果として、フィルモア楽器などの日本企業が商標を継承し、新たなモデルを制作するようになりました。

その後、ロレッタ社がモズライトの権利を主張し、裁判を繰り広げた結果、ロレッタが米国での商標権を正式に取得しました。これにより、現在ではモズライト製品にはフィルモア製とロレッタ設立の工房製が存在し、ユーザーに多様な選択肢を提供しています。

著名なユーザー

モズライトのファンには多くの著名なミュージシャンがいます。例えば、ジョー・メイフィスやバック・トレント、フレッド・ソニック・スミス（MC5）、ニルヴァーナのカート・コバーン、加山雄三、さらには寺内タケシなどがその愛用者として知られています。これらのアーティストたちによって、モズライトは音楽シーンでの特別な地位を築き続けています。

モズライトは、独自のデザインと音色を追求し続け、多くの音楽家が愛してやまないギターのブランドとしてその名を今も刻み続けています。

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