セラミック発振子

セラミック発振子について

セラミック発振子は、電子機器で特定の周波数を生成する役割を担う重要なコンポーネントです。この発振子は、マイクロプロセッサをはじめとするデジタル回路において、タイミング信号の生成に幅広く利用されています。具体的には、テレビやビデオデッキ、電話機、印刷機、カメラなど、多岐にわたる電子機器でのタイミング回路に用いられています。

構造と種類

セラミック発振子は主に2端子型の構造ですが、一般的には負荷コンデンサを2つ内蔵した3端子型が広く利用されています。これにより、発振回路に必要な部品の数や占有面積を減少させることが可能となります。パッケージのタイプには、表面実装型と挿入実装型の2種類があります。3端子型の発振子では、2つの端子間で発振が行われ、3つ目の端子はグランド（GND）に接続されます。

動作原理

この発振子は、高安定な圧電性セラミックの一種であるチタン酸ジルコン酸鉛（PZT）を使用し、機械的共振器として機能します。外部からの電圧が加わると、圧電効果により材料が変形し、特定の周波数で共振します。この共振周波数は、振動モードやセラミック素材の寸法によって決まります。

セラミック発振子は、水晶振動子に比べてコンパクトでコストが安いため、多様な電子回路で使われています。ただし、周波数の精度に関しては水晶振動子に劣り、セラミック発振子の場合は誤差が約0.5%であるのに対し、水晶振動子は誤差が0.001%と高精度です。これにより、精度の要求が比較的低い用途での使用が一般的です。

振動モード

セラミック発振子に使用される振動モードにはさまざまなものがあります。

• - 長さ振動: 長方形の板が伸縮する振動モードで、発振周波数は板の長さに反比例します。
• - 拡がり振動: 正方形または円形の板が面内で広がったり縮んだりする振動モードで、発振周波数は板のサイズに依存します。
• - 厚み滑り振動: 両面がずれるように振動するモードで、主に数MHzの発振子に使用されます。
• - 厚み縦振動: 板の厚み方向に伸縮を伴う振動モードで、発振周波数は板の厚みの逆数です。

特に、チタン酸鉛系の圧電セラミックを利用した厚み縦3次高調波振動モードは、数十MHzの発振子で見られます。このモードは、エネルギーの閉じ込めを利用することで、特定の周波数を発振します。

エネルギー閉じ込めの現象

セラミック発振子において、部分的に配置された電極によって振動のエネルギーが集中的に発生する現象を「エネルギー閉じ込め」と呼びます。この現象によって、振動に関与しない部分が決まるため、デバイスのケースに固定する際も容易になります。特に、この技術は発振子の性能を向上させるためにますます重要になってきています。

セラミック発振子は、電子機器における時間制御の要素として、これからもさまざまな分野での活用が期待されています。

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