セリエAエリート

セリエAエリートとは

セリエAエリート（イタリア語: Serie A Elite）は、イタリア国内におけるラグビーユニオンの頂点に立つプロフェッショナルリーグです。イタリアラグビー連盟（Federazione Italiana Rugby, FIR）が運営を担っており、国内クラブチームの最高レベルの戦いが繰り広げられます。このリーグの下位には、名称が同じであるものの別の大会であるセリエA（Serie A）が存在します。

大会概要と形式

現在のセリエAエリートは、2024-25シーズンにおいて10チームが参加しています。リーグ戦では、各チームがホーム・アンド・アウェー方式で他の全てのチームと2度対戦する総当たり形式が採用され、レギュラーシーズン中に各チーム合計18試合を戦います。レギュラーシーズン終了後、上位4チームがポストシーズンであるプレーオフに進出します。

プレーオフの準決勝は、レギュラーシーズンの順位に基づき、上位チームのホームで第1戦、下位チームのホームで第2戦を行うホーム・アンド・アウェーの2試合制で実施されます。この2試合の結果により、決勝進出チームが決定されます。決勝戦は、一発勝負の単独試合で行われ、年間王者が決定します。なお、3位決定戦は行われません。

大会名の変遷

イタリア国内のトップラグビーリーグは、その創設以来、時代と共に名称を幾度となく変更してきました。最初に開催されたのは1929年2月で、当時の名称はディヴィジオーネ・ナツィオナーレ（Divisione Nazionale）でした。その後、リーグの構成や参加チーム数の変動に伴い、名称はセリエA（Serie A）、スーペル10（Super 10）、エッチェレンツァ（Eccellenza）、トップ12（Top 12）、そしてトップ10（Top 10）などと変遷を重ねました。現在は再びセリエAエリートという名称が使用されていますが、同じ「セリエA」という名称は下位リーグの呼称としても使われているため、注意が必要です。

歴史

イタリアのラグビー国内トップリーグは、1929年の創設から第二次世界大戦が終結する1940年代にかけて、初期の歴史を刻みました。この約20年間で、アマトーリ・ミラノ（アンブロジアーナ時代の優勝を含む）が14回、ラグビー・ローマ（ラグビー・ローマ・オリンピック時代の優勝を含む）が4回と、主にミラノとローマに拠点を置くチームが優勝タイトルの大半を獲得し、国内ラグビー界を牽引しました。しかし、第二次世界大戦の影響により、1943-44シーズンと1944-45シーズンの開催は中止されるという困難な時期も経験しました。

戦後、1950年代に入ると国内勢力図に変化が見られます。特にヴェネト州のチームが台頭し始め、ヴィス・ロヴィーゴは1950-51シーズンから4連覇を達成するなど、その強さを示しました。1950年代後半から1960年代にかけてはフィアンメ・オーロ・パドヴァが、1970年代から1980年代にかけてはペトラルカ・パドヴァが、そして1990年代以降はベネットン・トレヴィーゾが長期にわたりリーグを支配し、数多くのタイトルを獲得しました。実際、1950-51シーズンから2009-10シーズンまでの60シーズンにおいて、ヴェネト州に本拠地を置くチームが合計42回もの優勝を記録しており、この地域のラグビーの隆盛を物語っています。

国際交流の試みとして、2006年にはイタリアとアルゼンチンのクラブ王者が対戦する「コッパ・インテルコンティネンターレ」が創設されました。イタリアからは2004-05シーズン王者のカルヴィザーノが出場し、アルゼンチンのシクリスタ・モルフィノを28対10で破り初代王者となりました。しかし、この大会は定着せず、この1回限りで終了しました。

近年では、国内リーグのあり方にも変化が生じています。歴代優勝回数でベネットン・トレヴィーゾと並ぶ最多優勝記録（当時）を保持していたアマトーリ・ミラノは、降格や選手不足などを理由に2011年に解散しています。また、15回の優勝を誇った強豪ベネットン・トレヴィーゾは、2009-10シーズンを最後に国内トップリーグを離脱し、翌シーズンから国際大会であるケルティックリーグ（現在のユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ）に活動の場を移しました。

記憶に新しい出来事としては、2019-20シーズンが挙げられます。このシーズンは、世界的に流行したCOVID-19パンデミックの影響により、レギュラーシーズンの途中で打ち切りとなりました。全22節が予定されていましたが、第12節までを消化した段階での終了となりました。

最多優勝チーム

大会創設以来、最も多くの優勝タイトルを獲得しているのは、アマトーリ・ミラノです。アンブロジアーナおよびミランとしての優勝を含め、合計18回の栄冠に輝いています。しかし、前述の通り、この歴史あるクラブは2011年に解散しており、現在活動はしていません。

セリエAエリートは、イタリアラグビーの歴史と伝統を象徴する大会であり、国内外のラグビー界においてその存在感を示し続けています。

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