セルゲイ・ステパーシン内閣

セルゲイ・ステパーシン内閣の概要

セルゲイ・ステパーシン内閣は、ボリス・エリツィン大統領の任期中、1999年に発足したロシア連邦の内閣です。この内閣は、エリツィンがセルゲイ・ステパーシンを首相に任命したことにより成立し、1999年5月19日から同年8月9日までの短い期間を経て解散しました。

背景

1999年、ロシアは経済的な危機に直面していました。前任のプリマコフ内閣は、金融危機の影響で崩壊し、その後エリツィン大統領は新たな政権を樹立する必要に迫られました。この時期、政治的な対立が激化し、特に大統領に対する弾劾の動きが強まりました。エリツィンやその支持派は、共産党やその他の反対派からの圧力に直面し、政権の安定を模索していました。

エリツィン大統領は、1998年10月に健康問題から倒れるなど、政治的な信頼を失いつつあり、次第に支持を失っていく過程で、政治的状況は動揺を見せました。大統領の周辺にはクーデターを計画したとの噂さえ流れたため、エリツィンは新しい政治的支援を求めることとなります。

ステパーシン内閣の成立

1999年5月、エリツィンはプリマコフを解任し、その後任としてステパーシンを任命しました。ステパーシンは、以前に内務大臣や法相、連邦保安庁長官を歴任していた経験を持つ官僚であり、治安関連の知識を背景に持ち合わせていました。これは、エリツィンが国内外の敵対勢力に対して強い姿勢を示す必要があったためと見られています。

内閣の成立に際して、エリツィンは階層の整序を狙い、閣僚たちの人選を行いました。彼の背後には、ロシアの新興財閥であるロゴヴァス・グループのボリス・ベレゾフスキーがいて、政治的な駆け引きに積極的に関与していました。ベレゾフスキーの強力な影響力により、ステパーシン内閣の人事が進められることとなりました。

ステパーシン内閣はその間に新たな省庁の設立や再編なども行い、政治では強権的なアプローチをとりました。しかし、内部的には権力闘争が続いており、特にアクショーネンコとの対立が表面化していきました。

短命の内閣

次第に、ステパーシン内閣はその存在感を薄めていき、国内で新たに形成された政治的連合「祖国・全ロシア」の脅威に直面しました。最終的には、エリツィンがステパーシンを解任する決定を下し、当時の無名の存在であるウラジーミル・プーチンを新首相に任命する結果となりました。エリツィンは、ステパーシンが期待されていたほどの支持を維持できなかったと判断したため、早期に交代を決めたと考えられています。

結論

セルゲイ・ステパーシン内閣は、ロシア政治の重要な転換期に存在した短命の内閣でした。その形成や解任は、エリツィン政権の不安定さとともに、当時の政治の複雑さを反映しています。ステパーシンはその後、政治的な場からは一時的に退くが、やがて野党の一員として再活動し選挙にも出馬しました。

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