セルゲイ・ヤホントフ

セルゲイ・エヴゲニエヴィチ・ヤホントフ（Sergey Evgenyevich Yakhontov、1926年12月13日 - 2018年1月28日）は、ソ連・ロシアを代表する言語学者であり、中国語研究において顕著な業績を残しました。

生涯

1926年、ヤホントフはレニングラード（現サンクトペテルブルク）に誕生しました。1945年にレニングラード大学に入学し、中国語の学習を始めました。大学院に進学後、1953年に修了し、同大学の中国文献学講師として教鞭を執りました。1954年には、「中国語の動詞範疇」に関する論文で博士号を取得し、1956年に准教授に昇任しました。その後も研究活動を続けましたが、2018年に生涯を閉じました。

研究内容と業績

ヤホントフの研究は、中国語の文法と音韻に焦点を当てており、特に古代中国語の再構築に大きく貢献しました。彼は、『言語学百科事典』の多くの項目を執筆するなど、幅広い知識と深い洞察力を持っていました。

彼の業績の中でも特筆すべきは、古代中国語の音韻体系に関する研究です。彼は、中古音の二等韻が上古音において「-l-」の音素を持っていたという説を提唱し、古代中国語研究に新たな視点をもたらしました。この説は、後の研究者によってさらに発展され、古代中国語の音韻体系の解明に大きく貢献しました。

主要な著作

ヤホントフは、数多くの著作を発表しており、その中でも主要なものとして以下のものが挙げられます。

中国語の動詞範疇 (Категория глагола в китайском языке) (1957):
中国語の動詞の分類と機能について詳細に分析した研究書であり、中国語文法研究における重要な文献として評価されています。日本語訳も出版されています。

紀元前1千年紀の中国語の音声、韻母の体系 (Фонетика китайского языка 1 тысячелетия до н.э. (система финалей)) (1959):
古代中国語の韻母体系を再構築した論文であり、古代中国語の音韻研究における基礎的な研究として位置づけられています。

紀元前1千年紀の中国語の音声、円唇母音 (Фонетика китайского языка 1 тысячелетия до н.э. (лабиализованные гласные)) (1960):
古代中国語の円唇母音について考察した論文であり、古代中国語の音韻体系の解明に貢献しました。

古代中国語の子音連結 (Сочетания согласных в древнекитайском языке) (1960):
古代中国語の子音連結について分析した論文であり、古代中国語の音韻構造の解明に寄与しました。

* 古代中国語 (Древнекитайский язык) (1965):
古代中国語の文法と音韻を総合的に解説した研究書であり、古代中国語研究における重要な参考書として広く利用されています。1986年には中国語訳が出版され、中国の研究者にも大きな影響を与えました。

セルゲイ・エヴゲニエヴィチ・ヤホントフは、中国語研究に多大な貢献をした偉大な言語学者であり、彼の研究は、現代の中国語研究においても重要な基盤となっています。

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