セルビア電力産業公社

セルビア電力産業公社（EPS）

セルビア電力産業公社（EPS: Elektroprivreda Srbije / ЕПС: Електропривреда Србије）は、セルビア共和国における最大の電力・エネルギー企業です。セルビア国内では、セルビア石油産業に次ぐ規模を誇る国有企業として、国のエネルギー供給において重要な役割を担っています。

概要

EPSグループは、総発電能力8,355MWを有し、年間38.9TWhの電力を発電しています。発電の内訳は以下の通りです。

石炭（褐炭）火力発電：5,171MW
ガス及び石油火力熱電併給発電：353MW
水力発電：2,831MW

EPSは、セルビア国内最大の石炭（褐炭）採掘事業者でもあり、コルバラ地方やコストラツ地方で年間約3,700万トンの褐炭を生産しています。採掘された褐炭は、自社が保有する大規模な専用鉄道によって、各火力発電所へと輸送されます。本社はベオグラードに所在しています。

主な発電所

EPSが運営する主な発電所は以下の通りです。

コルバラ火力発電所（130MW）
ニコラ・テスラA 火力発電所（1,649MW）
ニコラ・テスラB 火力発電所（1,160MW）
TPPコストラツA 火力発電所（281MW）
TPPコストラツB 火力発電所（640MW）
ジェルダップⅠ 水力発電所（1,086MW）
ジェルダップⅡ 水力発電所（270MW）
バイナ・バシュタ揚水水力発電所（614MW）

これらの発電所は、セルビアの電力供給を支える基盤となっています。特に、ニコラ・テスラA・B火力発電所は、その発電規模の大きさから、EPSの主力発電所と言えるでしょう。

専用鉄道

EPSは、燃料炭を採掘する炭鉱からサヴァ川右岸地域の火力発電所へ燃料炭を輸送するために、総延長100kmを超える大規模な専用鉄道を保有・運行しています。この専用鉄道は標準軌で、交流電化（25KV・50Hz）されており、セルビア鉄道と同形の電気機関車が使用されています。コルバラ郡の炭鉱とニコラ・テスラA・B火力発電所（ベオグラード市オブレノヴァツ区）を結ぶほか、ブレオツィ（Vreoci）でセルビア鉄道ベオグラード＝バール線にも接続しており、効率的な燃料輸送を可能にしています。

まとめ

セルビア電力産業公社（EPS）は、セルビアの電力供給において不可欠な存在です。豊富な石炭資源と水力を活用し、国内の電力需要に応えています。また、自社で炭鉱を運営し、専用鉄道を保有することで、燃料の安定供給を実現しています。今後も、セルビアのエネルギー安定供給に貢献していくことが期待されます。

外部リンク

公式サイト

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