セルフビレイコード
セルフビレイコード：登山における自己確保の要
セルフビレイコードは、登山、特に岩場や危険な場所での自己確保に不可欠な道具です。別名ランヤードとも呼ばれ、両端にカラビナを取り付けるためのループを備えたロープで、バランスを崩した際の転落を防ぎ、身体を支える役割を果たします。アイス[[クライミング]]、沢登り、ロッククライミング、ボルダリングなど、様々な登山シーンで懸垂下降ポイントや終了点での安全確保に利用されています。
セルフビレイコードの歴史と素材の進化
セルフビレイコードの歴史は古く、かつては電柱での作業時に電気工事士が安全確保のために使用していました。当初はスーリングと呼ばれる素材が用いられ、その素材は時代の変遷とともに進化を遂げています。
スーリング素材の変遷
- - ナイロン製スーリング: 初期に登場したナイロン製スーリングは、岩角に弱く、水濡れに弱いという欠点がありました。
- - ダイニーマ製スーリング: 次に登場したダイニーマ製スーリングは、ロープとの摩擦や結び目への衝撃に弱く、切断の危険性が指摘されました。
- - テックウエーブ製スーリング: 縫製技術の進化によって、ナイロンとダイニーマを組み合わせたハイブリッドなテックウエーブ製スーリングが登場しました。
- - 登山ロープ製セルフビレイコード: 現在では、伸びることで衝撃を緩和できる登山ロープ製のセルフビレイコードが推奨されています。登山ロープは、水濡れに強く、岩角での切断にも強いのが特徴です。
- - リング型セルフビレイコード: 近年では、扱いやすいリング型のメトリウス ダイナミックPASも登場しています。
転落による人体への影響
人間は14kNの衝撃を受けると即死すると言われています。2.4メートルの落下で20kNもの衝撃を受けることから、いかに転落が危険であるかがわかります。特に、山中では救急処置が遅れるため、1.2メートルの落下でも内臓破裂や骨盤骨折といった致命的な怪我につながる可能性があります。最新の技術を用いた伸びるラインアドシステムを使用することで、衝撃を6kNまで軽減することが可能とされています。
転落事故と教訓
北アルプス連峰などの山岳地帯では、転落・滑落事故が後を絶ちません。長野県における2022年度の山岳遭難発生状況では、転落・滑落事故が全体の27%を占め、40歳以上の中高年層が83%に上ります。特に、岩場やクサリ場では、天候の変化によって危険度が大きく変動するため、十分な注意が必要です。雨後も危険度は増すため、慎重な行動が求められます。
クサリ場やはしごの通過方法
- - カニの横ばい: クサリ場を横移動する際に用います。
- - 登り降り: クサリ場を垂直に移動する際に用います。
ハーネスの作成
登山用品店で販売されている120cmと60cmのスリングを2本ずつ、安全環付きカラビナ2個を使ってシットハーネスまたはチェストハーネスを作成します。これにより、自己確保が可能となります。
その他の危険箇所の通過方法
- - カラビナスルー: 固定ロープにカラビナを掛けてトラバースする方法。
- - コンテニアス: ザイルで体を繋ぎ、前後で歩く方法。
- - プルージック: ロープにスリングを巻き付け、手で押し上げながら登る方法。
- - イタリアンヒッチ: 固定カラビナを用いて懸垂下降する方法。
- - ごぼう抜き: ロープを掴んで下降する方法と、肩絡み懸垂下降。
落下を防ぐロープ使いの常識
ロープの末端には抜け防止のために結び目を作るか、2本のロープをオーバーハンドノットで結びます。また、崖下でロープの末端が地面に届いていない場合の遭難を防ぐために、登り折り返し技術とフリクションヒッチが有効です。
フリクションヒッチ
セルフビレイコードが抜けるのを防ぐため、直径7mm、長さ150cmのロープスリングを用いて、ロープに4巻きします。
「3分の1システム」
危険な登山路でロープを使う場合、転落や宙吊りのリスクが伴います。自己脱出や救助に備えて、以下の携行品が役立ちます。
- - マイクロトラクション (セルフジャミングプーリー): 質量85グラム。20キログラムの力で引き上げることが可能。
- - アッセンダー (タイプロポック): 質量39グラム。ロープを掴んで登る際に使用。
- - セルフビレイコードとカラビナ: 自己確保に必須の道具です。
注釈
上記の情報は、登山における自己責任の原則に基づき、安全な登山をサポートするためのものです。個々の登山者の経験や体力、天候条件などを考慮し、適切な判断と行動を心がけてください。
報道
登山に関する事故は後を絶ちません。常に安全に対する意識を持ち、十分な準備をすることが重要です。
関連項目
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