セロニアス・モンク ストレート・ノー・チェイサー

セロニアス・モンク：ストレート・ノー・チェイサー

『セロニアス・モンク ストレート・ノー・チェイサー』は、1988年に公開された、ビバップの巨匠セロニアス・モンクの生涯を描いたドキュメンタリー映画です。監督はシャーロット・ズヴェリン。モンクの貴重なライブ映像に加え、友人や家族へのインタビューを通して、その音楽と人物像に迫ります。クリント・イーストウッドの制作会社マルパソ・プロダクションが制作を担当し、ワーナー・ブラザースが配給しました。

2017年には、アメリカ議会図書館によって「文化的、歴史的、審美的な観点から重要」な作品として、アメリカ国立フィルム登録簿に保存されました。

制作の背景

映画の制作は、クリスチャン・ブラックウッド監督が、かつて撮影したモンクの未公開映像の存在をプロデューサーのブルース・リッカーに話したことから始まりました。その映像は、1967年に西ドイツのテレビ局が制作した1時間の特別番組のために撮影されたもので、モンクがニューヨーク、アトランタ、ヨーロッパを旅する6ヶ月間を追ったものでした。

リッカーはその映像を「ジャズの死海文書」と呼び、ドキュメンタリーの核として使用することを提案。シャーロット・ズヴェリンを共同監督に迎え、制作が開始されました。当初、モンク本人へのインタビューも計画されていましたが、健康状態の悪化により実現しませんでした。1982年2月17日、モンクは脳卒中でこの世を去ります。葬儀の様子はブラックウッドによって撮影されましたが、モンクの死は映画制作に複雑な問題をもたらしました。

遺言書がないことや、ニューヨーク州が事実婚を認めていなかったことから、財産の相続手続きに時間がかかりました。さらに、モンクのライフ・ストーリーを扱う権利が、映画制作の経験がない若い男性に買収されたため、制作は一時中断を余儀なくされました。資金調達も難航し、テレビ番組として制作される可能性もありましたが、リッカーはクリント・イーストウッドに協力を依頼。イーストウッドは快諾し、自身の制作スタジオであるマルパソに映画を制作させ、必要な資金を提供しました。

こうして、ブラックウッド兄弟による貴重な映像に加え、様々なネットワーク会社からの古い映像、そして息子であるセロニアス・モンク3世や、テナー・サックス奏者のチャーリー・ラウズ、モンクの家族や友人へのインタビューを加えて、映画は完成しました。

貴重な映像の数々

1967年に撮影された13時間にも及ぶアウトテイクには、モンクと彼のバンドによるライブ・パフォーマンスや、オフ・ステージでの貴重な映像が記録されています。これらの映像は、ドイツで1度放送されたきり、約20年間眠っていたものでした。

作品の評価

『セロニアス・モンク ストレート・ノー・チェイサー』は、1989年のニューヨーク映画祭で初上映され、高い評価を受けました。「ニューヨーク・タイムズ」紙は、モンクの手がピアノを奏でるクローズアップ・ショットの数々が、彼の卓越したテクニックを明らかにしていると指摘し、「これまでに撮影された中で最も価値あるジャズの一部」と評しました。寡黙なモンクの内面に迫る作品として、広く評価されています。

外部リンク

Thelonious Monk: Straight, No Chaser - IMDb（英語）
Thelonious Monk: Straight, No Chaser - Rotten Tomatoes（英語）
Thelonious Monk: Straight, No Chaser - Box Office Mojo（英語）
Thelonious Monk: Straight, No Chaser - オールムービー（英語）
Trailer on Warner Archive - YouTube
セロニアス・モンク/ストレート・ノー・チェイサー - allcinema
* Roger Ebert's review of the film

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