センウセレト1世

センウセレト1世は、古代エジプト新王国時代に先行する、中王国時代における屈指の王朝、第12王朝の第2代ファラオとして歴史に名を刻んでいます。およそ紀元前1971年から紀元前1926年頃まで、およそ半世紀に近い期間にわたり王国を統治しました。

彼の治世は、父である初代ファラオ、アメンエムハト1世の晩年に共同統治者として始まりました。父王が即位してから20年が経過した頃に、センウセレト1世は父と権力を分かち合う立場となります。共同統治者として、彼は主に王国の辺境を守り、必要に応じて外部への遠征を指揮するなど、軍事的な責任を担っていました。

歴史的な転換点となったのは、父アメンエムハト1世が首都イチ・タウイで暗殺された事件です。この時、センウセレト1世は王国の西方にある砂漠地域へ遠征に出ていました。父王の突然の死、そしてそれに伴う首都での政変の報を受けた彼は、遠征部隊の大部分を後に残し、わずかな手勢を率いて急ぎ首都へ引き返しました。混乱に陥っていた宮廷を迅速かつ巧みに掌握し、単独のファラオとして王位を継承することに成功します。その後、彼は父王のために盛大な葬儀を執り行い、アメンエムハト1世が自身のためにアル＝リシュトに築いていた墓所に手厚く埋葬しました。

単独の統治者となってからも、センウセレト1世は父アメンエムハト1世が打ち出した改革路線を着実に引き継ぎ、国家体制を一層盤石なものとするべく尽力しました。共同統治時代から主要な任務であった軍事政策は継続され、王国の南方に位置するヌビア地域への影響力をさらに拡大します。ナイル川の第二急湍近くまでエジプトの勢力を伸ばし、戦略的に重要な地点に少なくとも13箇所の要塞を建設しました。これらの要塞に恒久的な軍の駐屯地を設けることで、本国から遠征部隊を繰り返し派遣することなく、ヌビア一帯をエジプトの支配下に恒久的に組み込むことが可能となったのです。

さらに、西方砂漠のオアシス地帯へも積極的に進出し、これらの遠征を通じて多くの鉱山や採石場を確保しました。貴重な鉱物資源や石材の供給源を確保し、その支配を確固たるものとしました。これらの活動によってもたらされた豊富な資源を背景に、センウセレト1世はエジプト全土で大規模な建築事業を展開します。神殿や記念碑など、多くの建造物が彼の治世中に建立されました。

特に注目すべき建築物として、彼の治世30年目に建立されたオベリスクが挙げられます。このオベリスクは、現在も立ったままその姿をとどめているものとしては、知られている中で最も古いものです。

治世の後半、およそ42年目が経過した頃、センウセレト1世は息子であるアメンエムハト2世を共同統治者に任命し、権力の一部を分かち合いました。これにより、スムーズな権力継承の道筋をつけました。彼の死後、息子アメンエムハト2世が単独のファラオとなります。センウセレト1世自身の遺体は、父と同様に、アル＝リシュトにあるピラミッド複合体内の墓所に埋葬されました。

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