セントジュード小児研究病院

セント・ジュード小児研究病院：小児がん治療の最前線

セント・ジュード小児研究病院（St. Jude Children's Research Hospital）は、テネシー州メンフィスに拠点を置く、小児がんをはじめとする重篤な疾患に特化した治療・研究施設です。1962年にエンターテイナーのダニー・トーマスによって設立され、「どんな子どもも人生の夜明けに命を落とすべきではない」という理念のもと、運営されています。

設立の背景と理念

ダニー・トーマスは、コメディアンとして成功する前に、生活に困窮していました。そんな時、彼は聖ユダ・タダイに成功を祈願し、成功したら聖堂を建てると誓いました。コメディアンとして成功を収めたトーマスは、その誓いを果たすため、セント・ジュード小児研究病院を設立しました。病院名は、彼の守護聖人である聖ユダにちなんで名付けられました。

病院の所在地としてメンフィスが選ばれたのは、カトリック枢機卿サミュエル・ストリッチの提案によるものでした。ストリッチは、トーマスの少年時代からの霊的助言者でした。

病院の運営と資金源

セント・ジュードは非営利医療法人であり、小児の重篤な疾患、特に白血病やその他のがんに焦点を当てています。年間運営費は莫大ですが、患者に治療費が請求されることはありません。この運営を支えているのが、アメリカ・レバノン・シリア友愛慈善協会（ALSAC）です。ALSACは、ダニー・トーマスによって設立された準独立組織で、セント・ジュードのための資金調達と認知度向上を主な目的としています。寄付金は、企業や個人など、様々な方面から集められています。

病院の機能と国際貢献

セント・ジュードは、21歳までの患者を治療対象としていますが、特定の疾患については25歳までの患者も受け入れています。また、国際アウトリーチ・プログラムを通じて、世界中の子どもたちの生存率向上にも貢献しています。

組織と提携

セント・ジュードは、アメリカ国内の複数の医療機関と提携し、幅広いネットワークを構築しています。これにより、患者は最新の治療を受けることができ、研究者たちは互いに協力して、より効果的な治療法の開発に取り組むことができます。テネシー大学健康科学センターとも提携しており、研修医の育成にも力を入れています。

近年の動向

2014年には、マーロ・トーマス・センター・フォー・グローバル・エデュケーション・アンド・コラボレーションが開設されました。2017年には、セント・ジュード生物医学大学院が最初の博士課程の学生を受け入れました。2021年には、スペースXの「Inspiration4」ミッションが、セント・ジュードのために多額の寄付金を集めました。

受賞歴と研究成果

セント・ジュード小児研究病院は、U.S. News & World Reportによって全米で2番目に優れた小児がん専門病院に選ばれています。また、ピーター・C・ドハーティ博士は、ウイルスに感染した細胞を免疫系がどのように破壊するかに関する研究で、ノーベル生理学・医学賞を共同受賞しています。

セント・ジュード小児研究病院は、小児がん治療と研究において、世界をリードする施設です。患者とその家族に希望を与え、小児がんの克服に向けて、日々努力を続けています。

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