セントフラスキン

セントフラスキン：19世紀を彩った名馬とその血脈

セントフラスキン(St. Frusquin)は、19世紀末にイギリスで活躍した競走馬にして、種牡馬です。その父は、リーディングサイアーを6回獲得し、クラシック競走優勝馬を9頭も輩出した、当時を代表する大種牡馬セントサイモン(St. Simon)でした。しかし、セントサイモン産駒のクラシック優勝馬は、それまで全て牝馬でした。セントフラスキンは、セントサイモン産駒として初のクラシック優勝馬となった牡馬という歴史的な意義を持っています。

華麗なる競走馬時代

セントフラスキンは、2歳時に6戦5勝という優秀な成績を収め、ミドルパークステークスとデュハーストステークスを制しました。3歳になると、さらに活躍の場を広げます。2000ギニー、エクリプスステークス、そしてプリンセスオブウェールズステークスと、重要な競走を次々と勝利。同世代、同父のライバル、パーシモン(Persimmon)としのぎを削り、ミドルパークステークスやプリンセスオブウェールズステークスではパーシモンを打ち破る活躍を見せました。ダービーでは惜しくも2着に終わりましたが、その実力は誰もが認めるものでした。エクリプスステークス制覇後にはセントレジャーへの挑戦を予定していましたが、故障のため、惜しまれつつも引退することになりました。

通算成績は11戦9勝。セントサイモン産駒の中でも3番目に高い賞金を獲得し、その総額は32,960UKポンドに達しました。

種牡馬としての成功

引退後はロスチャイルド家の元で種牡馬となり、その才能は繁殖界でも発揮されます。二冠馬セントアマン(St. Amant)など、数々の活躍馬を輩出し、セントサイモンの後継種牡馬として確固たる地位を築きました。1903年と1907年には、イギリスとアイルランドのリーディングサイアーに輝き、その実力を証明しました。

血脈の継承

セントフラスキンの父系は現在では途絶えていますが、その血統は様々な形で現代に受け継がれています。例えば、セントフラスキンの父系の子孫であるセイントジャスト(Saint Just)の孫、オレンジピール(Orange Peel)の子孫は、馬術競技分野で活躍を見せています。また、その産駒であるフラストレート(Frustrate)は日本に輸入され、小岩井農場の基礎輸入牝馬の一系統として現在までその血脈が受け継がれているという重要な事実があります。

主要産駒

セントフラスキンは、数々の優秀な競走馬を産みました。その中でも特に有名なのは以下の通りです。

セントアマン (St. Amant): 2000ギニー、ダービー優勝
ローズドロップ (Rosedrop): オークス優勝、ゲインズバラの母
ミルスカ (Mirska): オークス優勝
フレア (Flair): 1000ギニー優勝
ロドーラ (Rhodora): 1000ギニー優勝
クインテセンス (Quintessence): 1000ギニー優勝
サンスクリット (Sanskrit): ハンガリーセントレジャー優勝
セントウォルフ (Saint Wolf): アルゼンチン首位種牡馬
グリーンバック (Greenback): ダービー2着
フラストレート (Frustrate): 日本に輸入され、小岩井農場の基礎輸入牝馬の一系統として現在まで繁栄している。

セントフラスキンは、競走馬としての輝かしい成績と、種牡馬としての成功により、サラブレッドの歴史に大きな足跡を残した名馬と言えるでしょう。その血脈は、様々な形で現代にまで受け継がれ、その偉大さを物語っています。

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